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☆メンバー投稿記事☆挑戦しようとしている自分の足を引っ張っているものを手放し、挑戦を加速させよう

はたママウェブでは、コミュニティメンバーの応援×読者のみなさんへのステキな情報提供を目的に、メンバー寄稿記事を不定期にお届けしてまいります!

今回は、フリーランス通訳者の藤野裕子さんからのご投稿です!

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こんにちは。このコミュニティーにいらっしゃるはたママの皆さんはママとしてだけでなく、自分の仕事、夢など自己実現に向けても日々頑張っていらっしゃるのではないでしょうか。今日は皆さんの挑戦を少しでも後押しできる記事が書けたらなと思っています。

「あれ、やってみたい」、「これ、やってみたい」でも・・・

通訳者である私の場合、その「でも」は、「航空会社訪問の通訳案件やってみたいな、でも失敗したらどうしよう」、「取締役会の同時通訳案件やってみたいな、でも私より上手な人はたくさんいるし、うまくできなかったらどうしよう」でした。ちなみにこの2つの案件は私が失敗したらどうしよう、うまくできなかったどうしようと思い悩むあまり本当に断った案件です。私はフリーランスの通訳者としていつか国際会議で同時通訳をしたいと思いながらも「失敗するのが怖くて挑戦できない」状態が続いていました。

失敗って何でしょうか?

うまく通訳できなくてお客さんに怒られること?ミーティングでの通訳が散々で恥をかくこと?

まさに絵に描いたような大失敗で想像するだけでも怖いですね。けれども「失敗」とは何かを見つめていくうちにこのような大きな「失敗」だけでなく、私は他の人から見れば分からないような小さなミスも「失敗」と数えていたことが分かりました。そして、そのミスをした自分を必要以上に責め続けて大きな「失敗」にしていたのです。「あーあ、発疹の英単語をど忘れしちゃった。医療通訳士の試験を受けた時に覚えたのになんでこんな簡単な英単語出てこなかったんだろう。」

最終的な合格ラインは何だろう

小さなミスにとらわれすぎていた私はサービス業としての通訳の仕事を俯瞰して見ることができていませんでした。まさに木を見て森を見ずの状態です。そしてやっと最終的な合格ラインはお客さんに喜んでもらうこと、「ありがとう」と言ってもらえることなんだと気付いたのです。恐る恐るではありますが、完璧主義、細かい通訳パフォーマンスへのこだわりを手放すことにしました。

そしてそれを体現するチャンスが訪れました。市長のスピーチの通訳案件です。市長は地元の特産品のPRでシンガポールにいらっしゃいました。この仕事を受けた際に、完璧にできなくてもいいから市長が伝えたいメッセージつまり、多くのシンガポールの人々に地元特産品を知っていただきたい、そこだけは必ずしっかり訳そうと自分に言い聞かせました。それさえできれば合格として臨みました。事前にスピーチ原稿を入手していたのですが、いざスピーチが始まってみると全く違った内容を話し出されたのです(政治家あるある)。小さなミスはいいからと自分に言い聞かせて集中して通訳した結果、細かい部分全てを訳すことはできなかったもののコアのメッセージはしっかり訳すことができ、お客さんにも大変感謝されました。

それでも失敗は避けたい笑

挑戦したい気持ちを大事にして小さなミスを受け入れることはできました。そうはいっても今後依頼がなくなるような大きな失敗は避けたいと思っています。大丈夫、大きな失敗だけはないからと自分に言い聞かせるには、何か根拠となるものが必要になってくるのではないでしょうか。あれだけやったのだから大丈夫、そう思えるように私は毎日通訳の練習に励んでいます。ただ1人でやろうとするとモチベーションが続かない場合もあるので定期的に通訳勉強会を開催しています。興味がある方はぜひご連絡ください!

Fake it until you make it

毎日努力する、小さなミスを受け入れて挑戦する、そうやって挑戦していると実力以上の通訳案件に出くわす場合もあります。そんな時には必殺技、できるふりをするです。心の中では「あー!こんな難しいのできない!」と心臓がドキドキしていてもそれをお客さんの前で出すわけにはいきません。しかも現場に出ているのでいまさら私できませんとは口が裂けても言えません。そんなときにはできるふりをして乗り切ります。

南洋理工大学(NTU)のSchool of Mechanical and Aerospace Engineering(機械・航空宇宙学科)をお客さんと訪問した時のことです。精密加工について説明があったのですが、もうチンプンカンプンでした。お客さんのお1人はなんとNTUに客員教授としていらっしゃったこともある方で内部事情に詳しい方でした。腹をくくりプレゼンをなんとか訳し終えました。クレームを覚悟して、元客員教授だったお客さんに「先生、難しかったです・・・」と告げたところ、「ねー、難しかったね。」と予想外の一言が。クレームをもらわずにすみました。

 

はたママの皆さんも様々な分野で自分のやりたいを形にしていることと思います。通訳における私の挑戦が必ずしもすべての分野に当てはまるとは限りませんが、自分のやりたいことを受け入れること、小さなミスを許容して挑戦できる心の土台を作ること、その参考になれば幸いです。最後まで読んでくださりありがとうございます。皆さんのやりたいを少しでも後押しすることができたら嬉しいです。

 

藤野裕子(ふじのひろこ)

豪クイーンズランド大学大学院 日本語通訳・翻訳修士課程(MAJIT)卒業。2008年よりシンガポール在住。在星日系企業勤務を経て2015年よりフリーランス通訳として活動を開始。政府系機関や現地企業訪問時の通訳、IR通訳、医療通訳、教育関係の通訳などを行う。2019年、医療通訳技能検定1級合格。HP:https://sj-interpreting.com/

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