インタビュー

シンガポールのワーキングマザーに聞いてみた、家庭と仕事の両立に大切なこと

シンガポールのオフィス街を歩いていると、当然のごとく働く女性をたくさん見かけます。年齢層も幅広く、もちろんワーキングマザーもたくさんいます。
日本よりも多くの女性が活躍しているというイメージが勝手にあるのですが、働いているみなさんは特に実感されているのではないでしょうか。

シンガポールのニュースサイトによると、シンガポールの女性就業率は約78%。日本が約71%なので、やはり数字的に見ても、シンガポールは女性にとって働きやすい環境にあるのかもしれません。特に、ワーキングマザー(ワーママ)にとって、仕事と家庭を両立しやすい環境にあるのではないでしょうか。

そこで、今回は街場のシンガポール人ワーママにインタビューし、家庭と仕事の両立の秘訣について伺ってきました。

日本のワーママと何か違うところがあるのでしょうか!?

某金融機関にお勤めで2人の男の子のワーママであるCandiceさんに話をはたママ特派員が聞いてきました!

 

【両立に周囲のサポートは欠かせない】

特:まずは、お子さんの年齢と日中の預け先などについて教えてください。

C:5歳と3歳になる息子がいます。上の子は、8時半から5時までチャイルドケア(保育園)に通っています。下の子は、9:00から12:00まで幼稚園に通っていて、そのあとはヘルパー(メイド)さんが面倒を見ています。

特:ヘルパー(メイド)さんがいらっしゃるんですね!上のお子さんが生まれてからですか?

C:ヘルパー(メイド)さんには、下の子が生まれたタイミングで来てもらっています。上の子が生まれた時は、義母が仕事を辞めて面倒をみてくれましたので、3か月の産休後すぐに職場復帰することができました。

特:3か月とは短いですね…。職場復帰に向けて様々なサポートを利用されてきたんですね。

C:シンガポールで暮らしていくためには、共働きであることがとても大切です。生活費が高いですから(笑)。生活のレベルを下げずに子どもを育てていくためには、周囲のサポートを利用しなければ難しいです。夫婦で協力していかないと!

特:なるほど。では、ブランクは産休だけでずっと働かれているんですね。

C:実は、下の子が生まれたあと、1年半程度専業主婦をしていました。下の子の体調があまりよくなかったもので。でも、その1年半は子どもにイライラしてしまったり、ずっと家にいることが向いていないと実感しました。

特:それで、職場復帰したんですね。

C:そうですね。働くことは、経済的な理由もありますが、個人の性格にも大きく関係することだと思います。自分がどういうライフスタイルが向いているのか…。

【職場に必要なダイバーシティの視点】

特:次に、お仕事について教えてください。特に、職場の女性への理解について。日本だと、育児休業制度があって職場復帰までに1年近くお休みができます。シンガポールではあまり制度的には整っていないようにも思えるのですが。

C:日本はいい国ですね!シンガポールでは先ほど言った3,4か月の産休があります。会社によっては、5か月というとこともあります。あと、育児有給休暇が年に6日程度あります。突然、保育園や幼稚園から熱が出たなどで呼ばれた時に使ったりします。

特:年に6日では足りない印象ですが…。

C:そうですね(笑)。ただ、シンガポールの職場は日本よりはワーママに対する理解はありますね。特に、理解のあるメンバーが周りにいればもっとです。
やはり一番影響が大きいのは、直属の上司や同僚の理解だと思います。制度よりも、一緒に仕事するメンバー、もしくは採用メンバー(チーム編成するメンバー)にダイバーシティの視点があるかどうか、これが重要と思います。

特:ダイバーシティの視点ですね。

C:例えば、チームメンバーの全員が「独身」または「男性」に限定されていると、自分たちの基準である「遅くまで働ける人」「いつでも出張に行ける人」ことが前提になります。そういう人たちと一緒に仕事をしても、ワーママは認められません。

特:日本の職場でも同じようなことがありそう…。

C:人事・採用のチームにこそ、ダイバーシティの視点が必要だと思います。組織の人事施策として、最初からダイバーシティを前提としたチーム編成したらよいと思います。仕事を行うチームには、既婚、未婚、家族の有無などなど、多様な背景を持つ人同士が一緒に働くことが大切ではないでしょうか。

特:なるほど。一緒に働く人たちがいろんな視点を持つことでお互いへの理解が深まりそうですね。今の職場では理解があるのですね?

C:そうですね。今は商品の取引に係る契約関連の仕事をしていますが、比較的柔軟に働くことができていると思います。

特:難しそうなお仕事ですね。こちらの職場は長いのですか?

C:実は今年の4月に入ったばかりで。こちらに来る前も同じ業界にいましたが、もっと稼ぎたいのと(笑)もっと学びたいことがあったので転職を決めました。

特:自己成長の機会としても転職されたんですね!素晴らしい!

C:今、従事している仕事は比較的安定している仕事です。外に出てアクティブに動いていたい(営業のような)仕事が好きな人には、向いていないかもしれませんが。私は、今の仕事に十分満足していますし、まだまだ学ぶことが多くやりがいを感じています。昇進や出世よりも、自分の成長という点を重視しています。

【夫婦関係で大切なこと】

特:自分なりのやりがいをもって働けることは大切ですね。続いて、ご夫婦のことについて伺います。家庭と仕事の両立には、ヘルパー(メイド)さんの力も大きいですが、旦那さんの力も必要ですよね。

C:まったくその通りです。日本のワーママが家事、育児、仕事をほとんど一人でこなしている話を聞いたことがあり驚きました。子どもの前では、父親も母親も平等に分担するべきというのが、シンガポール家庭の一般的な考え方だと思います。実は、私の夫は子どもとの時間をもっと持ちたいと思って転職したんです。2人のいい父親です。

特:転職までされたんですね!子どもための決断ができるのはすごい!

C:そうですね(笑)。でも、家族を持てばいろいろなライフステージあり、そのたびに優先順位が変わるものですよね。子どもができれば、子どもとの時間。子どもが独立すれば、夫婦や自分の時間。子どもといられる時間は限りがありますね。

特:素敵な考え方ですね。私なんて、ワタワタ焦ってばかりで、長期的な視点で人生を俯瞰できず、自分の子どもに向き合ってないかも…。そうやって、同じ方向を向いて協力しあえる夫婦は理想です。

C:共働きですので、夫婦でゆっくり話せる時間は少ないですが、極力その時間を確保するようにしています。面と向かってのコミュニケーションはやはり欠かせません。ラッキーだったのは、夫と職場が近くなり、車通勤中にいろんな話ができることです。車の中で、ゆっくり話せることでお互いの理解をすり合わせたりしています。ただ、最近は、家を買う予定なのでその話題が多くなっていますが(笑)。

 

特:夫婦のコミュニケーション…。毎晩遅い旦那を待てず、寝落ちしてる場合じゃないですね!
最後に、シンガポールで働いてる日本人ワーママへ一言お願いします。

C:日本の旦那さんは忙しいかもしれませんが、コミュニケーションが大事だと思いますので頑張ってみてください。あと、シンガポールのローカルのワーママとも何かしら交流してお互いにサポートしあうのもいいかもしれませんね!

特:ローカルのワーママと知り合いになりたいですね!今日はありがとうございました!

 

 

今回のインタビューで家庭と仕事の両立に大切なこととして、見えたの来たことは周囲のサポートとそのメンタリティだと思いました。「仕事にしがみついていない」姿勢が見えたように思います。
Candiceさんは、自分の人生を俯瞰し、自分の「価値観」をしっかりとらえながら、それに合った仕事や家族のスタイルを見出す。「こうあるべき」の呪縛からは遠く離れて「自分らしい」人生を選択されている、そんな風に感じました。

私なんて、何かに焦り、図書館で分厚い英語のMBAの本読んで頭痛くなって15分で帰り余計に焦るという、わけわかんないこと繰り返していましたが、忘れちゃいけない「自分らしさ」を追及していきたいと思いました。

 

 

Cooperated by:Candice Wun, Naomi Tanno
Reported by: Aiko Mochizuki

 

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