生活・エンタメ

新型コロナウイルス感染拡大中のメンタルヘルス対策

新型コロナウイルスの影響が、大好きなシンガポールにもじわりじわり。
私たちの生活も変わりつつあります。
はたママWebでも何かできないかと思っています。

その一環として、緊急企画を考えました。今回と次回で「コロナ」からくるメンタルダウンにどう対処するかについてお届けしたいと思います。

まずは、シンガポール日本人会クリニックに勤務する臨床心理士・公認心理師の原田舞香先生からのメッセージです。

新型コロナウイルス拡大中のメンタルヘルス

はたママメンバーの皆さん、こんにちは。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、皆さん生活に大きな影響を受け、未曽有の、そして先行きの見えない非常事態の中、大きなストレスを抱えてお過ごしのこととお察しいたします。(本記事は、2020年4月3日現在のシンガポールの現状に基づき、作成しています。)

在宅勤務の方は、子どもの世話の傍らで仕事をしなければならず、いつも通りに仕事がはかどらなかったり、同じく在宅勤務のパートナーと間に軋轢が生じたり、在宅勤務の出来ない職種の方は、日々神経を張り詰めた状態で仕事を続けておられるかと思います。

急な入国規制の発令でご家族が離れ離れ、子どもの学校のE-learningが続いていて、通常授業再開のめどが立たない、
春の一時帰国を取り止め、次いつ日本に帰国できるか分からない・・など、
様々な問題を抱えておられるかと思います。

日本では、「コロナ鬱(うつ)」という言葉を聞くようになりました。自分ではどうすることも出来ない強いストレスにさらされて、これまで元気だった方が心身の調子を崩したり、少し元気のなかった方が、益々落ち込んでしまう、といった事態も起こっているかと思います。

皆様の状況次第では、実践できることも、そうでないこともあるかも知れませんが、私の方でいくつか、こんなことを心掛けては、ということをご紹介させて頂きます。

1.いつも通りを心掛ける

ご自宅では出来ればいつも通り、「今、ここ」で出来ることを出来る範囲でやりながら過ごしましょう。規則正しい生活を心掛ける、よく寝て、よく食べて、いつも通り過ごすことを心掛けましょう。
子ども達は、ママが不安そうにしている姿を見ると、その影響で子ども達も不安を感じたり、情緒不安定になる場合があります。ご家族の心身の健康の為にも、まずはママが落ち着いて、いつも通りに過ごせることは、とても大切です。
在宅勤務で思ったように仕事がはかどらず、食事の準備や掃除など、家事が進まない場合もあるかも知れませんが、「今は非常事態だから」と考えて完璧を求めず、頑張り過ぎないようにしましょう。

2.情報は、正しいものを厳選して

今はネット、SNS、ニュースなど、あらゆるところでコロナウイルス関連のネガティブな情報が流れています。ずっとテレビをつけっぱなし、ネットサーフィンしっぱなしになってしまうと、常にネガティブな情報にさらされてしまい、 人間は不安の悪循環に陥りがちになってしまいます。
コロナウイルスはまだ分からないことが多く、人は漠然とした不安の対象に立ち向かおうとすると、群集心理が働き、出所の不確かな噂に巻き込まれてしまうこともあります。
情報収集する時間を自分で決めて、スマートフォンを離れる時間を持つ、情報を収集の際は信頼できるサイト(例えば政府、大使館、ニュースサイトなど)を限定して閲覧する、出所の不確かな噂を広めない、等心がけましょう。

3.出来る範囲で人と「繋がる」

在宅勤務だったり、外出の自粛を求められていると、これまでのように直接誰かに会う機会は非常に限られていますが、今はオンラインで様々な人と繋がることの出来る時代になりました。従来からの電話やメールだけでなく、SkypeやZoomなど、オンラインで繋がる方法を活用するチャンスです。
今は会えない旧知の友人と久しぶりに連絡を取ったり、空き時間にオンライン上のグループチャットやオンライン習い事等に参加して気分転換を心掛けるのもよいと思います。

それでも、もしかすると今後、ご自身やご家族に「眠れない」「食欲がない」「涙が出てくる」・・等、いつもと違う様子が見られたら、それは心身の調子を崩して来たサインかも知れません。そのような時は、一人で抱え込まず、早めに信頼のできる専門家にご相談ください。今は平常時より医療機関や相談機関を受診しにくいこともありますが、オンラインやメールで相談できる機関もありますよ。

なお、JAMSNET-TOKYO(海外在留邦人を支援する医療従事者による非営利団体)から、新型コロナウイルスに関する有益な情報を発信しています、随時アップデートされていますので、宜しければご活用ください。

 

今は、世界中で多くの人が非常事態にあり、コロナウイルスと闘っています。辛いのは自分だけではない、と互いに励ましあいつつ、この窮地を乗り越えて行ければと思います。
末筆となりましたが、一日も早くコロナウイルスの流行が収束することを心から願っております。

<参考文献>
〇佐久医師会:新型コロナウイルス感染症対策のもとで子どもたちを支えるために
〇日本赤十字社ホームページ:「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」

〇日本臨床心理士会等三団体による共同メッセージ:「感染症対策下における子どもの安心・安全を高めるために」

〇ニューヨーク日本人教育審議会教育文化交流センター・教育相談室提供:「新型コロナウイルスについての子どもの心のケアについて」

Profile:
【原田舞香】
臨床心理士・公認心理師・産業カウンセラー
資格取得後、心療内科、大学研究機関、独立行政法人にて勤務。中国・北京駐在に帯同中、海外在住日本人によるボランティア、現地医療機関でのボランティアに従事。駐在妻ライフキャリア研究所開設後、配偶者のシンガポール駐在に帯同。現在、シンガポール日本人会クリニックに勤務(非常勤)。専門は海外在住日本人のメンタルヘルス対策、女性のライフキャリア支援、勤労者のメンタルへルス対策。2児の母。

Reported by : Maika Harada

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