「子どもがいてもフルタイムで働き続けるのは自然なこと」シンガポールのワーキングマザーに聞いてみた、家庭と仕事の両立に大切なこと VOL4

不定期で届けしている「仕事と家庭の両立」についてシンガポールのワーキングマザーに聞くシリーズ。はたママ特派員が突撃インタビューを実施してきました。4回目となる今回も、笑顔が印象的でやさしさ溢れる素敵な女性からお話を伺うことができました。

インタビューに応じてくれたのは、公的機関で水処理関連施設に関わる仕事をされているEstherさん。小学校1年生と年少さんのお子さんがいます。シンガポールの国立大学卒業以降、ずっと働き続けているEstherさん、実は旦那さんが日本人。

シンガポールと日本の両方の文化を知る彼女が「働く母親」のワークライフバランスについてどのようなことを語ってくれたのでしょうか。

 

子どもができても働き続けていきたい。仕事か子どもかの二者択一ではない。

 

特:子どもが産まれた時、もしくは結婚されたタイミングで仕事をストップするという選択は?

 

E:全く考えていませんでした。卒業してからずっと働いてきているので、いわゆるキャリアブランクはありません。シンガポールもキャリアブランクがあると復職するのが簡単ではない。市場価値が下がることも。子どもができたので家庭に入るという風には思いませんでした。大学の学位があると仕事の選択の幅が広がりますし、私もせっかく取得したわけですし。

 

特:日本だと高学歴な人でもわりと「仕事か家庭か」で迷う人がいます。

 

E:もし、役員レベルの高い職位を目指すのであれば、子どもや結婚に対して躊躇するかもしれません。でも、中間管理職レベルで安定的に働くことを考えたら、子どもや結婚はさぼど障害にはならないと思います。時間のコントロールができると思います。

 

特:働きつづけるモチベーションのひとつに、将来の年金など社会保障的な理由がありますか。日本では、専業主婦であっても企業で働く配偶者による年金の積立があれば、老後に受給できるという仕組みがあるのですが。

 

E:そうですね。シンガポールでは、働き続けないとCPF(シンガポールの年金制度に準ずるもの)はたまりませんし。日本のような手厚い補償はありませんから。
確かに、共働きの方が経済的にも安心です。でも、働く理由は経済的なことだけではないです。私自身の母親にも「子どもができても働く」ことを勧められて。なので私にとって、働くことはとても「当たり前」のことになっていて。これという理由を説明するのが難しいですね。

 

 

特:無理なく自然にお仕事されている様子がよく分かりました。次に、家庭と仕事をどのように両立されているのか、教えてください。

 

家事は夫婦間で分担するのがシンガポール流。父親と母親でそれぞれの役割が。

 

E:うちはヘルパーを雇っているので、家事はほんとんどおまかせしていますね。例えば、夜7時に帰ってきても、二人の娘のお迎え、晩御飯、お風呂が終わっている。
一般的な話をすると、シンガポールは国土が狭いので、子どもの祖父母の助けを借りやすいですね。リタイヤした祖父母の多くは、時間がたくさんあるので孫の世話をすることができるように思います。私の場合、自分の両親がまだ働いているのでお世話をお願いはしていないのですが。

 

特:日本だと孫の面倒を見るよりも自分の時間を楽しむシニア世代も増えているのですが。

 

E:人によるかもしれませんが、シンガポールでは割と子どもの面倒をみてくれています。徐々に変わっていくかもしれませんが。

 

特:Estherさんは、ご自身のお母さんから仕事することを勧められたんですね。日本だとたまにある話で、自分の親などから「働いて子どもがかわいそう」というような発言を受けることが。シンガポールにもそういうことはありますか。

 

E:そういうことはあまり聞いたことがないですね。仕事をすることを勧められることはあっても。もしかすると、自身の母親としての経験から家にいるだけの生活に思うところがあったのかもしれませんね。

 

特:外野からのプレッシャーがないのは素敵なことですね。親子間の役割はよく分かりました。次に、夫婦間での役割分担はいかがでしょうか。

 

E:シンガポール家庭では、家事は夫婦で分担するものと捉えられていると思います(ヘルパーがいない場合)。子どもがいる場合、子どもの遊び相手は母親で、家事や教育(しつけ)は父親、というなんとなくの分担があると思います。母親は、子どもがどんな食べ物が好きかとか、どんな服が好きかとか、おもちゃは何が好きかとか、よく把握していると思います。でも、父親はわからなかったりしますよね。なので、子どもの相手は母親がやっぱり得意なことだと思うんですよ。
父親は子どもとの距離があるから、教育やしつけができる。うちも、夫が子どもの教育には熱心です。

 

特:母親と父親の役割。勉強になります(笑)。さて、日頃仕事で忙しくされているようですが、「もっと子どもとの時間を持つべき」と迷うことはありますか。私もフルタイムで子どもを預けているので迷うことがあります。

 

子どもとの時間?仕事を優先?子どもと質の高い時間を過ごすというワークライフバランス。

 

E:ジレンマはいつも感じています。今日は少し早く帰ってお迎えに行ってあげたほうがいいのかな、子どもと一緒にあそんだりしたほうがいいのかな。いつも頭にあります。でも、子どもたちは仕事をしている母親をとても誇らしく思ってくれていると信じています。
とある日、次の日の会議が憂鬱で暗い顔をしていた私に対し、娘が「大丈夫だよ」と
声をかけてくれたことがあります(笑)。仕事への理解をしてくれているのかなと思いました。

 

特:素敵なエピソード。お子さんと過ごす時間の使いかたなど、なにか工夫はされていますか。

 

E:週末は、家族だけで過ごすようにしています。質の高い時間を過ごせるように。週末でもヘルパーさんを連れていくことはほとんどしないでいるのはそのためです。

 

特:ところで、お子さんは小学校1年生。教育に熱心なシンガポールですから、プレッシャーがあるのでは。

 

E:そうですね。一般的には小学校に入るとたくさんの塾に通い始めますね。私の親も、子どもがどの塾に行っていないので心配するほどです(笑)。ただ、あまり子どもに教育のプレッシャーをかけたくないと思っています。シンガポールの教育はテストでいかに良い点をとるれるかというもの。たくさん 勉強しないといけないので子どもは大変だと思います。まだ小さいうちはのびのびさせてあげたいですから。

 

特:日本もつめこみの教育が問題になりつつあります。少しずつですが、将来的には変わって来るでしょうね。
最後にシンガポールで働く日本人ママに一言お願いします。

 

最後に一言

 

E:シンガポールという異国にきて生活しているだけでも大変なことなのに、仕事もするのはさらにすごいこと。決して無理せずにいてほしいですね。せっかくの人生なのですから、自分の好きなこと、家族が幸せになれること、そして自分が幸せでいられるよう過ごして欲しいなと思います。Be happy!!

 

 

「異国で生活しているだけですごい」と言ってくれるのはEstherさん。日本での生活経験があるからこその発言ではないでしょうか

本当にそうですよね。異文化で普通に生活するだけでもたいしたもんですよね。

今回のインタビューで、Estherさんから日本の女性は家庭を中心に働き方を変える印象があるというお話がでました。例えば、子どもができたのをきかっけにパートタイムになるなど。

このお話を受け、またこれまでのインタビューを経て、結婚や子どもは通過点であって、そこを起点に仕事を大きく変えず生活スタイルを変える(例:ヘルパーを雇う)のがシンガポール流なのだなあと改めて感じました。

他にもEstherさんの話を聞きながら、仕事も生活スタイルも「自分で選択した」という姿勢を感じました。子どもができたからこうせねばとか、妻だからこうせねば、という社会的な何かにとらわれていない。自分の思いに正直に生きているからこその、穏やかさを感じました。

私も、人と比べてあれこれ焦らず、自分の選択を信じてそれが自分にとって正解なのだと自信をもって前に進んでいきたいと思いました。

Cooperated by: Esther
Photo by: Madoka Nakano
Reported by: Aiko Mochizuki

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