駐在妻の多くが抱えているであろう悩み「帰国した際の再就職」。
私自身もその1人ですが、みなさんも以下のような悩み・不安を感じているのではないでしょうか。
- いつ本帰国になるのだろう?
- 子どもの預け先は?
- 再就職先はすぐ見つかるのだろうか?
今年3~4月、駐在妻のための情報・交流サイト『駐妻カフェ』を運営する、グローバルライフデザインさんが、駐在妻が本帰国した後の再就職の実態を探るアンケートを実施し、5月にはその貴重なアンケート結果とそこから得られた気づきをシェアするオンライン交流会を開催されました。
オンライン交流会「オンラインカフェ」には録画視聴の方も含めると、世界中から117名が参加!
みなさんの中にも参加された方がいらっしゃるのではないでしょうか。
前半部分ではアンケート結果と、回答者のコメントから見えたキャリア形成に向けたヒントの説明があり、後半部分では運営メンバーの方の実体験のシェアや参加者同士での意見交換、そして駐在妻の大先輩方からリアルタイムで励ましのメッセージなど、盛りだくさんの内容でした。
本レポートでは、オンライン交流会に参加して得られた気づきと感想を中心にシェアさせて頂きます。はたママメンバーの皆さんがご自身のキャリア形成を考える際にお役立ていただけましたら幸いです。
グローバルライフデザインと代表、飯沼ミチエさんのご紹介
今回のアンケートを実施されたグローバルライフデザインは、駐在員家族の生活基盤を支えるキーパーソンである”駐在妻”に対して、マインドとキャリアの両面からサポートすることと、海外生活で培った知識と経験を十分に発揮できる場を提供すること、そして社会に対して、駐在妻が持つ優れた能力と可能性を伝え、駐在妻に対する理解を促進することを使命としています。
代表の飯沼ミチエさんご自身も、旦那様の転勤に伴い、駐在妻として海外でトータル5年半暮らした経験をお持ちです。シンガポールにも3年間駐在し、駐在中に出産もされています。子育てをしながらの駐在生活は思った以上に大変だったそうですが、それ以上に帰国後が本当の試練だったとのこと。
”次にいつ海外転勤があるかわからない状況の中で、自分がこれからどんな働き方、そして生き方をしていきたいのか迷いに迷い、悩みに悩み、日々モヤモヤ、イライラ。そんな時期が半年以上続きました”
そんなとき、 コーチングに出会い、本来の前向きさを取り戻すことができたそうです。そして、今度は飯沼さんご自身がコーチングの手法により、駐在妻ならではの悩みや不安を解消して前に向かって歩きだせるようなサポートがしたいという思いから、オンラインコーチングセッションの提供、駐妻カフェの運営等を行っていらっしゃいます。
グローバルライフデザインのご紹介:https://cz-cafe.com/about-globallifedesign/
アンケート結果概要
本アンケートにより、駐在妻の再就職においては大きく以下の課題があることが浮き彫りになりました。
- 配偶者の海外赴任同行により離職期間(以下、本文中ではブランクと記載)が生じ、年齢に即した実務経験を積むことが難しく、再就職市場ではハンディキャップを負わざるをえない
- 再就職にあたって駐在妻が感じる主な課題は「ブランク」「年齢」「育児との両立」「(配偶者の人事異動等により)今後の見通しが不透明」
- 保育所の確保・家庭との両立が再就職にあたって大きな壁となる
- 仕事選びの基準として、最も重視するのは「働き方の柔軟性」
- 正社員雇用比率は78%→再就職後は29%まで減少、パート・アルバイトが最多層になり、待遇も下がるケースが多い
出典:駐妻カフェ 【調査結果】『駐在妻の再就職アンケート』から見えた再就職の現状とキャリア形成に向けたヒントhttps://cz-cafe.com/2021/06/17/survey-saishushoku/
この結果の中で、私が一番衝撃を受けたのは正社員雇用比率の大幅な減少でした。駐在前のような待遇では働けないかもしれないと思っていましたが、正社員として復帰できる人は多くないのが現実ということが、数字としてはっきり示されたことになります。
再就職に向けたヒント ~課題に対する対応策~
アンケートでは「再就職につながった海外生活中の活動」についても聞いていおり、「ボランティア」「語学」「自己分析・情報収集」「実務経験」の順に多く挙げられていました。ボランティアや海外での実務経験は直接的に再就職へつながったわけではない場合でも、モチベーションの維持に役立った、履歴書に書けるので駐在期間中も遊んでいたわけではないことを示せたという声がありました。自己分析・情報収集を駐在期間中から行っておくことで、帰国後の再就職をスムーズに進められることも実体験としてあるようです。
就職の具体的な事例として、以下のようなケースが紹介されました。
- パートをいくつも経験したのち、本帰国から8年後に正社員に
- 派遣会社で働いたのち、キャリアコンサルタントの資格を取得してフリーランスに
- 派遣社員として働いたのち、外資系企業の正社員に
駐在妻の再就職には様々な課題があるのは事実ですが、最初から理想を叶えることができなくても、いくつものステップを経て納得のいく働き方を実現できる可能性があることが分かります。
再就職に対し、時期、家族構成、さらには地域さえも明確なプランが描きづらいのが現実ですが、将来どうしたいのか、自問しながら海外生活中にもスキルアップや経験を積むことが、再就職をより満足のいくものにするポイントとなりそうです。
再就職に不安を抱える駐在妻へのメッセージ
アンケートの自由回答には「一度の再就職で完璧を目指さなくていい」「自分が海外で培った経験・視点を信じて、生き生きと働ける職場を選ばれては」「帯同期間中はいろいろな意味で楽しみ、自分の可能性を広げる活動をされては」という先輩方からの暖かいメッセージが寄せられていました。
アンケートの集計結果、自由回答の内容、そしてメッセージ等は以下『駐妻カフェ』サイト内に掲載されています。本レポートでは紹介しきれない先輩方の実体験に基づく声をぜひ、ご覧になってください。
【調査結果】『駐在妻の再就職アンケート』から見えた再就職の現状とキャリア形成に向けたヒント (https://cz-cafe.com/2021/06/17/survey-saishushoku/)
交流会内でも、駐妻カフェ運営メンバーやゲストの方々からたくさんの励ましのメッセージを頂戴しました。本レポートではその中から一部抜粋してシェアさせていただきます!
<アンケートを実施された たのきんさんからのメッセージ>
駐在妻が再就職する場合は海外生活中に働けなかったことが弱みになるが、逆にそれを強みとして捉えては。働けないが故に、働けることの尊さを知っているし、海外生活中にしか得られない経験も積んでいる。最初がパートや派遣でも、のちに正社員になれる可能性も。どんなことでも今後につながる。あきらめないで。
<駐妻カフェ運営責任者 飯沼ミチエさんからのメッセージ>
自分を信じて。自国から離れて、日々トラブルを解決しながら進んでいる自分を褒めてあげて。
駐在妻は誰しも、日々の生活の中で「突破力」を身につけているはず。それをしっかり言語化して、伝えることが大切。
オンラインカフェに参加して
「一気にゴールを目指さなくてもいい」「どんなことでも今後につながる」という気づきを得て、駐在後の再就職に不安を感じていた参加者のみなさんも、大いに励まされたことと思います。「駐在中に何を身につけたか?」について小グループで意見交換をしましたが、様々な人種、考え方の違う人々と生活する中で、多様性を受け入れる柔軟性や、予想外の出来事にその都度対応する臨機応変さを日々磨いていると言えそうだと、お互いに共感し合いました。
シンガポールは駐在妻であっても比較的働きやすい国ですが、外国人の就労については厳格化されつつあります。そうした中でもネガティブにならず、今しかできない活動や経験を積んで、今後にいかしていきたいですね。はたママとしても、そのお手伝いができるような情報を発信していきたいと思います。
Reported by Moe Kawai
Special Thanks to Michie Izuka (Global Life Design)