インタビュー

「母」でも「妻」でもない自分自身が活躍できる場所がボランティア!シンガポール・アメリカ・日本と3か国での経験を語る ボランティア経験インタビュー 児玉俊子

皆さん、ボランティア活動にご興味はありますか?

シンガポールという新しい土地で、社会と繋がり、そこで住む人々と交流する一つの方法がボランティア活動です。

社会と繋がる方法として、「働く」という選択肢もありますが、「帯同ビザ(Dependent Pass)だけでは働けなくなる」という昨今の法改正を受けて、就労することのハードルが非常に高くなってしまいました。自身の活動の場として、ボランティアに目を向けてみるのはいかがでしょうか。

今回は、ボランティア活動の経験が豊富な児玉俊子さんにお話しを伺いました。

シンガポールでのボランティア活動について聞かせてください。


—どんなボランティア活動に参加していますか?

アッシシ・ホスピスを訪問し、デイケアセンターの広間で患者さんにフットマッサージを提供するというボランティアに参加しています。日本人会が窓口となって実施しているボランティアで、26年もの歴史がある活動だというから驚きです。

毎週木曜日午前10:00~11:45が活動時間ですが、毎週参加できなくても大丈夫。集まれるボランティアメンバー10~15人程度で、35名程度の患者さんにフットマッサージを施します。日本人会会員でなくても参加可能。ボランティア保険付き、交通費支給(一部)ありというのも特徴です。

実は、活動に参加して1年経った頃に、1年間のリーダー職をお受けしました。主に施設側の責任者とのやり取りや、活動日の患者さん達の誘導や声掛け、順番のご案内と、ほかのふたりと運営を任されましたが、不慣れでも前任者や先輩メンバー、時には患者さんからのサポートや理解で助けられました。日本人会でのボランティア説明会ではプレゼンテーションと、この職あっての経験となりました。

訪問場所のアッシシ・ホスピス
ホスピスを訪問し、患者さんにフットマッサージを施す

—参加のきっかけは?

当初より、シンガポールの現地の方と交流したいという思いがありました。何かやりたい、と思っていたときに、たまたま知り合った方がこのボランティアに参加していらして、存在を知ったのがきっかけです。

—実際に参加してみてどうでしたか?

皆さん、フットマッサージをすると、ほっとしたような顔をして下さるんです。この笑顔が見たくて来ているんだな、と感じています。自分の訪問を待っている人がいるというのが嬉しいです。「母」とか「妻」といった役割に忙しく、自分自身を置き去りにしてしまうことがありますが、ここには「母」でも「妻」でもない自分が活躍できる場所があるという感覚です。

お話し好きの患者さんをはじめ、施設で働く方々や日本人以外のボランティアの方と仲良くなり、交流を楽しんでいます。一方、英語でのコミュニケーションに自信がない方でも、周りの方が通訳してサポートしてくれるので全く問題ありません。

患者さん達からボランティアグループにプレゼントを頂いたときの写真

—このボランティアに興味がある場合は、どうすれば良いですか?

(添付の案内をご参照に)まずはメールにて、お問い合わせください。活動が再開次第、見学の日程をご案内します。一度お越しいただいて、場所や施設の様子、実際の活動をわかってから申込の説明をします。

本ボランティア活動についての詳細資料はコチラ↓
アッシシ_ミュージックフットマッサージメンバー募集

現在は、コロナウイルス感染拡大を受けて、施設訪問を見合わせており、状況の改善と再開を願っているところです。アッシシ・ホスピスを訪問してのボランティア活動としては、フットマッサージの他にミュージックの活動(音楽に合わせて体を動かす等)も行っており、ご自身の興味にあわせて選んで頂けます。

クリスマスデイ活動の様子

シンガポール以外の土地でも、積極的にボランティア活動に参加されてきた児玉さん。他にはどんな経験をお持ちなのか教えてください。

—まず、アメリカで色々なボランティア活動に参加されたんですよね。

はい、思いつくだけでも5つあります。

  • 幼稚園でクラスボランティアとして、子供たちにフォニックスを教える。
  • 現地の小学校でボランティアとして、頻繁に学校に通い、授業補佐、イベント準備、日々の備品準備を実施。印象に残っているイベントの一つがハロウィンのパンプキン・カービング・イベント。
  • 中学校の日本人教師と知り合った事をきっかけに、中学校で日本文化の紹介を実施。
  • 日本語補習校の設立10周年記念祝賀会の企画運営。
  • アメリカ南西部の補習校20校が集まる講習会を開催するにあたり、予算を抑えつつ参加の先生方が安心で満足できるホテルや食事の手配を担当。
アメリカの現地校でのボランティア

—すごいですね。どこからそのモチベーションが湧いてくるんですか。

モチベーションは、各ボランティア活動によって異なるように思います。

例えば、幼稚園クラスボランティアについては、フォニックスを教えるのが純粋に楽しかったのと、当時の幼稚園先生と相性が合った点が、長く続けられた理由です。

現地小学校ボランティアについては、アメリカにおいて親がクラスボランティアとして関わるのは一般的だったという状況がありましたし、学校に行くことで子供の様子が見られるのも嬉しかったです。

また日本人生徒が会社関係の子弟と限られていたので、日本人が不利な扱いを受けないようローカル並みの活動をしたいという使命感がありました。実際、私が続けたことで、他の日本人お母様の活動も見られるようになりました。

補習校関連については、補習校自体が手作り感のある愛着の湧く学校で、熱心に取り組んで下さっている先生方に少しでも恩返ししたいと思ったことが理由です。

—日本でもボランティアをしたことはあるんですか。

2010年にAPEC横浜が開催された際に、市民ボランティアをやりました。

—その後、日本で就職されていますが、アメリカや日本でのボランティア経験は活きましたか。

就職を意識してボランティアをしていたわけではなく、楽しいからやっていたのですが、今思い返すと、就職にゆるやかに繋がるところがあったと感じています。

幼稚園ボランティアでフォニックスを教えるという英語指導の実地経験があったので、小学校英語認定指導者資格(J-shine)を取得することができました。国立大学の国際交流係に就職することになったのですが、その際に市民ボランティアをしていたことや、英語資格を持っていることを経験としてお話しできました。

はたママ読者へのメッセージ

色々なボランティアを経験してきましたが、「自分にとってプラスになるか」ということを意識するよりも、まずは「楽しいこと」をやるのが良いと思います。「自分ができること」を無理しなくて良い環境が大切です。

ボランティアに参加する事で、多くの場合、他人との作業が日常に変化をもたらし、新しい気付きが得られます。知り合う仲間が増え、かけがえのない数々の機会を頂けたことを感謝しています。

気になるボランティア活動があるならば、お試しで参加してみるのも良いですし、参加者に話を聞いてみるのも参考になります。やってみてから断ることも出来るので、ホスピスでの活動などに興味がある方がいらしたら、まず見に来て欲しいです。

「ここでしか出来ないことって何だろう?」という視点を持って過ごすうちに、気づけば経験が積み上がり、資格取得や再就職に繋がっていきました、ボランティア活動で得られた自信が、次のステップへと進む力を私に与えてくれていたと今になって感じています。

インタビューを終えて(編集後記)

インタビューを進める中で、児玉さんが「楽しい」と何度もおっしゃっていたのが印象的でした。なぜそんなにも楽しめるのか。そこを深く聞いていくうちに伝わってきたのは、人のサポートが楽しいということ、また、自分ができることを探す「自分探し」が楽しいということ。そのような姿勢でいると、ボランティア機会は身の回りにたくさんあるということを感じました。

Interview and Written by Kaori Horita

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