はたママインタビューProfile006 : ケルニン青木康子

はたママインタビュー6人目は、食のイベントブランド「Spoonful(スプーンフル)」をメインとしたイベント会社Alchemist(アルケミスト)を設立し、1人から始めた料理クラスを食のイベント会社として成長させたケルニン青木康子さん。

今では食以外にも様々なイベント運営も手掛けておられます。今回は康子さんの長きに渡るビジネスパートナーのRegent Singapore, A Four Seasons Hotelの皆さんのご協力を得て、優雅にホテルでお茶を戴きながらのインタビュー&撮影。康子さんは謙遜されていますが、ぎっしり濃密なお仕事ストーリーに魅了されたインタビュー隊でした。

迷っているのだったらやってみる!

アウトプットしないと人生光陰矢の如し

 

 

体調を壊し、見えたもの

 

私は現在、食のイベントブランド「Spoonful(スプーンフル)」を手掛けるAlchemist Pte Ltdの代表を務め、メディア、企業の食品PR、メニュー作りから展示会、イベントダイレクション、マーケティング調査までを手掛けております。

 

大学卒業後、日本とイギリスの旅行会社で旅行企画、手配、添乗を担当。その後、パートナーと合流するため来星。 転機を求め「本当にしたいことはなんだろう」と自問していたところにシンガポール現地情報誌「J+plus(現パノーラ)」発行元の総合メディア会社Comm Pte Ltdに勤める機会を得、足掛け7年の間、お金には代え難い多くの経験をしました。その頃は自分が起業するなんて思ってもいなかったのですが、いま思えば常に「いつかこの経験が役に立つかも」といった取り組みが起業の基礎になりました。Comm Pte Ltd在籍中に子供2人を出産。上の子が4歳になるまで、ヘルパーさんなしの「働くママ」でしたが、ある時、疲労が蓄積し、しびれが治まらなく、「糖尿病」かもしれない、という医者からの診断。 結果、誤診だったのですが、このまま疲労で死ぬようなことがあったら、何を後悔するかと思った際に、「まだ自分自身の力でやり切ったのものがない。自分の力で起業して、創造したい。」人生を考え始めるようになりました。

 

まず身体を壊さない為に、「外注できるものは外注!」とし、ヘルパーさん雇用、その分さらに仕事に打ち込むことに。

 

「利益」と「社会貢献」どちらも叶える起業って?

 

折しも時は、日系企業のシンガポール進出ブーム。また子供をもったことで、より自然と社会貢献にも目を向けはじめ、ビジネスとして利益を追い求めつつ、社会貢献できる形がないかとの思いが次第に芽生えて始めました。ある日、新聞でシンガポールは食の廃棄量は過去3年で30%という記事を見つけました。現代のシンガポールでは家庭で食事を作る習慣が少なく、ほとんど外食で済ませることが多いといいます。

やはり自分で作る経験がないと、食の大切さはわからない。もしかしたら料理教室やイベントを開催し、食の廃棄への関心を喚起すれば、食の廃棄量って1%でも減るかもしれない、将来的にはきっと世の中へ貢献できるはず。そう思って、起業への思いはどんどん膨らみ、退職前に会社登記し、後戻りできないように自分を奮い立たせました。

 

資本金がない為、物件の賃貸や設備投資をせず、サービスだけを販売する「モバイルクッキングスタジオ」のコンセプトで、まずはレストランやホテルの営業空き時間にコラボレーションイベントとして、料理教室を行うという食のイベント会社「Spoonful(スプーンフル)」を2014年夏に設立しました。 楽しいイベントを開催すれば人は勝手に集まると思っていたのですが認知度ゼロで、初めてのイベントは定員15人に対して参加者5人という状態(今思えば、5人でも来てくれたのが奇跡ですが。)。そこから1年弱で、まずは認知度を上げる為に、100本のイベントを展開。マーケティング費用も限られていたため宣伝もしていなかったのですが、スタッフとして人気のブロガーさんが、講師としてチームに加わってくれたり、講師陣、お客様、それぞれが宣伝協力をしてくれ、次第に「Spoonful(スプーンフル)」が知られるようになって行きました。ありがたいことです。

 

多くの食のイベントを実施することで、次第に企業様からも弊社の取り組みに興味をもっていただけ、展示会業務やレシピ制作発注等もいただけるようになり、4年目の今は「食以外のイベント」、例えば企業式典、コンサート、講演会のお手伝いもするようになりました。

 

政府関連の食のイベントのお仕事で

 

SAKURA祭りでお弁当を教えました

 

 

社会貢献とシェフの地位向上をめざして

 

創業時に、「食の廃棄問題」に取り組みたいと思っていた矢先、その取り組みをすでに行っているNPO団体のフードバンクSingaporeの存在を偶然知り、すぐに会いに行き、パートナー締結をしました。 弊社では「食の廃棄問題」のPRを協力、Food Bankへに寄付された食の倉庫での整理や、本当に食を必要としている人に配布のボランティアを不定期でイベント参加者も巻き込み行っています。また2017年からはSpoonfulイベント申込の際に、希望者は1㌦の少額寄付をFood Bank にチケット購入時に寄付できるようにしました。今後は日本語スピーカーとして日系の学校や談団体にもFood Bankの取り組みを伝えて行きたいです。(ご希望者はお問合せ下さい。) 志を同じとする他団体と出会え、創業時から社会貢献にも取り組み出来、恵まれた環境だと思っています。

 

また仕事上シェフと接する機会が多いのですが、知識・技術を持ち、材料、手順を吟味し、素晴らしい一皿を完成させるシェフという仕事は「一人一人がアーティスト」だとレスペクトしています。お料理を作る以前に、安全な職場の環境の維持、長時間労働の中、日々、食材と人を相手としている仕事は大変です。将来はそんなシェフ達の活動の裏にももっと光があたるような取り組みも業界の知識を深めた後にチャレンジしたいと思います。

 

フードバンクの支援を子供達と参加

 

国立調理学校のクラスメイトと

 

長い目で見た育児と仕事のバランス

 

育児との両立については長く自分の中で葛藤がありました。はたママの間でもよく話題となり、多くの方にご質問される「育児と仕事の両立」。でも両立ってなんでしょうね。どちらも丁度に完璧(50:50)と思うと苦しくなりますよね。

 

そもそも両立というのはどこまでやったら両立? 私の場合は1日という時間枠の中だと両立、全然できていないのです。長い目で見て均衡が取れていればいいか、と思い至ったのはつい最近。ライフステージにより育児の比重が高くなったり仕事に費やす時間が多くなったり、どちらかにバランスが傾くと思いますが、長い時間軸でバランスを考えるようになって気持ちも軽くなりました。もちろん子供は宝物! 一緒に過ごす時間は抱きしめる回数を多く、話をしっかり聞き、少ない時間でも「濃密な時間作り(笑)」を大切にしています。最近ではスタッフ皆の頑張りのお蔭で、少し時間が作れ、小学校に通う子供の宿題を見る時間も出来ました。また仕事の合間にシンガポール国営のPolytechnicのアジア調理専門学校に通い始めました。私自身が業界出身者ではない為、シンガポールの業界・アジア食材知識を深める為です。これも通う前は本当に時間が作れるのか、体力的に続くのか悩みましたが、時期的に今しかないと思い、通学を決意しました。

 

ところで、「起業の相談」も度々受けます。悩んでいる時間も大切ですが、挑戦したいことがあり、チャンスがあれば行動してみるのが良いのではないかと思います。行動してみて、本当にやりたい事だったのか、また何がその挑戦に必要になっていくのかも見えくると思います。(失敗したらやめて良い訳ですし。) 自分が想定している完璧なスタート時期というのは、来ないかもしれないので(笑)。時期を待つものいいのかもしれませんが、まず、少しでもやってみることは大事だと自分自身にも戒めを込めてお伝えしたいです。 起業したことに一切後悔は無いです。(心身共にしんどかったり、悩んで眠れな日も山ほどあるけどね!)

 

「人生光陰矢の如し。」自分自身も仕事、家庭のこと、勉強、習い事とやりたいは沢山あります。

人生100年プランの中でやり切れるか?(笑)。

 

ケルニン あおき やすこ

 

 

 

 

 

 

 

日本・英国での旅行代理店勤務(7年)後、シンガポールに移住。現地メディア会社Comm Pte Ltd勤務(7年)。

その後自身で食のイベントブランド「Spoonful」をメインとしたイベント会社Alchemist Pte Ltdを設立後、代表を務める。

フランス人の夫・子供(8歳・6歳)・メイドさんの5人暮らし。

好きな言葉:ファンタジー

好きなもの:食に関わることすべてと味の実験、良く冷えたビール、白ワイン、読書、妄想時間

 

 

▼はたママウェブライターとしても活躍中! 記事一部紹介

  • はじめまして!/貧乏暇なし平社長 こちら 

  • 大人の手習い!シンガポールでフランス語をなぜ習う!? こちら

▼「Spoonful」「Alchemist(アルケミスト)」 のホームページサイト

  • 食のイベントブランド「Spoonful(スプーンフル)」  こちら
  • シンガポールの食関連イベントの企画、運営、マーケティング会社「Alchemist(アルケミスト)」  こちら

 

▼Regent Singapore, A Four Seasons Hotel のホームページサイト こちら

 

 

Photo by Yumi Kanna

Written by Toshiko Negoro Smyth

Supervised by Madoka Nakano

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