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潜入レポート:新しい時代の夫婦のカタチ「アセアン家庭の男女平等における新視点」を聞いてきました!(後編)

前回に引き続き、日本人会で行われた「アセアン家庭の男女平等における新視点」の講演会の内容シェア。テーマであるアセアン主要国の夫婦のあり方は、はたママのみなさんにきっと参考になる情報だと思いましたのでご紹介したいと思います。

前回の記事では、アセアン主要国の家庭では、家事・育児の役割分担の仕方に4つのタイプがあることをご紹介しました。特に、共働きが8割を超えるアセアン主要国の家庭では、家事・育児をきちんと明確に分担して、それぞれの責任の範囲でこなすタイプ(タスクベースシェアリング)が主流でした。そして、夫婦間の満足度も高いということが分かりました。

今回は、このタスクベースシェアリングタイプについてもう少し詳しく見ていきながら、これからの時代の夫婦のあり方について考えてみたいと思います。

 

【アセアンでも広がるイクメン・スーパーダディ】

 

前回の記事でもご紹介したようにタスクベースシェアリングタイプの家庭では、夫が積極的に家事・育児に参加している傾向にあるようです。例えば、あるマレーシアの家庭では、夫が洗濯と料理を担当。夫は、日頃よりフェイスブック広告(プロモーション)が好きでくまなくチェックしており、子ども用の洗剤の広告を発見。SNSを通じて妻に確認の上、購入していました。洗濯という一つの家事に対して、少しでも質を高めようと努力している姿勢がうかがえます。
また、あるタイの家庭では、車の購入の際に、互いの要件(セダンがいいとか、トヨタがいいとか)を洗い出し、いくつかの候補に。最終的にはテスト運転をして合意の上決定したそうです。

このように、タスクベースシェアリングタイプの夫婦では、些細な意思決定であっても、大きな買い物をするときであっても、合意プロセスを大切にしているそうです。さらには、こうした「私たち」で家のことを決めることが理想的と、夫側が思っているそうです。

夫婦がそれぞれが、それぞれの主張を通すこと(=相手を論破すること)ではなく、どうしたら合意できるかという姿勢に立っているからこそ、成り立っているのでしょう。互いの満足度をあげるには、まず「相手の立場にたつ」という基本的なことに立ち返る必要があるのかもしれないですね。いやはや、夫の苦労も知らず、なじりまくっていた自分が恥ずかしくなりました。

このように、家事・育児に積極的に参加している夫、まさに「イクメン」「スーパーダディ」は、アセアン主要国、もちろんシンガポールでも当たり前になりつつあることが分かります。そして、その実態とは、物理的に家事・育児をこなしているだけでなく、パートナーへの「尊重と配慮」があり共に意思決定しようとしている、そんなところに驚かされました。

 

【家事も育児も共有へ】

 

今回の、講演を通じて新しい時代の夫婦のあり方について考えされられました。共働き世帯が当たり前になっていく中、家事が夫婦どちらかにかたよって負担することになれば、「わたしばっかり…」と満足度が低くなるのは明らか。いかに夫婦間でしっかりとしたコミュニケーションを取りながら、明確な分担するかがポイントだと思いました。

夫婦でなんとなく「私がやったほうがいいかな」とか「こうしたほうがいいかな」と暗黙の了解で進めてしまいがち。でも、それだと意識ギャップは埋まらず、将来的な不満の種になる可能性があります。互いに何ができるか、どうしたら満足度を高められるか、という視点でオープンに話し合い決める、このプロセスが大切なんだと思いました。

話し合いの結果、家事の分担が実質半分半分にならなくても、合意形成のプロセスがあるので互いに納得感が出ると思います。そうすれば、「わたしばっかりやってない?」にはなりにくいのでは。加えて、話し合いの際に家事の完成レベル(達成レベル)まで、合意できたら素晴らしいなと思いました。

例えば、洗濯ものの干し方、洗い物の仕方、子どもの教育など、妻がこだわりを持っている場合があると思います。こうしたこだわりが強い人から見ると、夫がいくら一生懸命やってもそのレベルに到達せず、満足されない場合も。こうしたケースをさけるためにも、夫がどのくらいならできるか、達成レベルを共有することが、後々に発生するであろう生活での不満を抑えることにつながると思います。

このように、新しい時代の夫婦は、なんでも共有が基本になるのではと思います。なんでも共有するということは、家族という一つのチームとして「当事者意識」を持って過ごすことだと思います。一見、共有する夫婦というのは、互いに依存しているようにも聞こえるのですが、実態は、自分が家族としてどのように満足度(=幸せ)に貢献できるのか自立して自分で考えている関係のように感じました。

テクノロジーが進む現代社会。カレンダー、写真、ドキュメントもすべてオンランでつながることができ、共有するためのインフラが整っています。今後もますます、アセアン主要国では、夫婦間のコミュニケーションは一方通行(伝えるだけ)から、共有の方向にますますなっていくのではないでしょうか。

そしてこの流れが、日本でも世界でも広がっていくことを期待して。

 

最後に、講演中に響いたインドネシアのある家庭の夫の発言。
「Happy Wife, Happy Family」
この言葉、我が家の壁に丸太ゴシック90ポイントくらいで貼っておきたいと思います。

 

 

Speakers:
Goro Hokari, Yusuke Miyabe, Prompohn Supatoravanich, Joanne Hoe Shuhui

Reported by
Aiko Mochizuki

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