COVID-19で在宅時間が増え、気づいたら電気料金の請求額が以前より増えている。。。
今までならオフィスで過ごしていた時間が在宅となり、すべての部屋でエアコンがフル稼働、となれば電気使用量が上がるのも当然です。では、会社が光熱費をカバーしてくれるかというと、今のところ、補助が出るケースは少ないのではないでしょうか。
シンガポールは電力が自由化されているので、電力会社を変更するとお得らしいという話は聞くものの、特に何もしていなかった人は多いはず。今こそ節約のため、SP Service (政府系電力会社)からの乗り換えを真剣に検討するタイミングかも!
はたママメンバーに、シンガポールの電力会社であるSenoko Energy勤務の駐在キャリアママ、衣笠さんがいらっしゃったので、取材していろいろと教えてもらいました。
実際に筆者はその後、電力会社の切替手続きにトライしてみました。ここでは電力自由化について学んだことと、実際の体験談をシェアしたいと思います。
シンガポールの電力全面自由化ってなに?
日本では2016年に電力小売事業が自由化されましたが、シンガポールでも2019年5月に小売事業が全面自由化されました。以前は政府系電力会社、SP(Singapore Power)が小売を担っていましたが、電力会社の自由化により、消費者との窓口事業(販売、契約、代金決済)が民間に開放されました。これにより、各企業、ご家庭も含めた全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。
ちなみに、電気を作る側である発電事業もすでに民営化されており、合計7つの会社がシンガポールには存在します。
衣笠さんが勤務するSenoko Energy は、日系コンソーシアム(丸紅、九州電力、関西電力、国際協力銀行)とフランス系企業により運営されているそうです。
一方、送配電は政府系のSP Groupが独占的に担っており、電力バランス(周波数等)の調整や安定供給を一手に引き受けています。
電力小売会社を変えるのは本当にお得?
筆者の場合は電力自由化前の契約だったので、選択の余地なく政府系のSP Service でした。SP Service の電気料金は規制価格であり、発電の燃料・建設・維持料金コストも含まれた料金体系になっているそうです。
一方、小売事業会社の販売価格は事業者間の競争原理が働くため、現状ではSP Service と比べて20-25%程度安くなっているとのこと。電力自由化は政府主導で行われているため、SP Serivceは民間企業間と競争はしていません。
どんな選択肢があり、どう違うの?
現在の電力小売業者は図の12社です。Keppel Energy、Genoko といった大手から、太陽光発電、ゴミ発電、小規模自家発電の会社も選択できます。
図の中で星で表示されている評価は、政府系の規制当局Energy Market Authority(EMA)が行ったアンケート調査に基づいており、切り替え手続きや顧客サービスの評価を反映しているということです。
https://www.openelectricitymarket.sg/residential/list-of-retailers
実際に選択する際は、先ほどのEMA が運営する電力会社の比較サイトが役に立ちます。価格はもちろん、各社の条件等(Fact Sheet)もサイト内で確認することができます。政府がここまで利用者側にたったサイトを運営していることに驚きます。
画面の指示に従い、住居タイプや電力月間平均使用量、価格タイプを入力すると、各社が提示する条件を一覧で表示してくれます。
選択肢がずらっと出てきますが、契約プラン(電力のレート、契約期間等)で絞り込みができます。1か月の予想電力価格を見たところ、すべての事業者間で比較すると20ドルほどの差はありましたが、大手だけをみると数セントだけの違いでした。
選ぶ際のポイント
さて、実際に選ぶにあたり、ポイントとなりそうな点を6つほど上げてみました。各会社は契約条件でいろいろな工夫をしています。自分に合った会社を探す手掛かりにしてみてください。
①価格
価格は会社間でも違いますし、変動価格を選ぶか、固定価格を選ぶかでも違ってきます。
変動価格は、SP Service が年に4回見直しをする規制価格から一定の割引(20~25%)を受けます。
固定価格は、契約期間中 Kwh あたりの単価が固定されます。
また、契約期間によっても価格は変わり、6か月、1年、2年といった期間から選択します。
②デポジット
SP Group は保証金S$500を義務付けており、うちS$325が電気代見合いです。小売会社によっては保証金を免除しており、その場合はS$325分が返金されたり、他のSP Group で発生する費用と相殺されます。
③違約金
契約期間中の早期解約については、多くの電力会社が違約金を設定しています。しかしながら、一定期間経過後であれば、違約金が免除される条件を提示している会社があります。例えば Senoko Energyの場合、1年契約であれば9か月経過後、かつ解約理由が駐在員の帰国辞令によるものであれば、違約金が免除される特約があります。
④代金支払い方法
一部の小売事業者は、代金支払いは従来通り、SPの請求書内で合算できるシステムを導入しています。支払切替え手続きなく現状の支払い方法を継続できるのは、管理のしやすさでメリットといえます。一方、電力分を切り離し、クレジットカード定期払いにして銀行プロモーション割引を選択できる会社もあります。
⑤電力価格以外のお得なパッケージ
小売業者間での競争は激しく、各社多彩なプランを提案し差別化を図っています。リベートやプレゼント、提携レストランの割引、インターネットなどとの組み合わせ販売など、価格以外でもお得なパッケージが用意されています。
⑥カスタマーサービス
手続き等で困った場合に、いかに迅速で気持ちよいサポートがあるかは気になるところ。筆者の場合、取材で感じた日系企業の安心感と、サービスの質への期待から、Senoko Energy さんを選ぶことにしました。
契約変更のリスクを確認
まず、変更手続き期間中に電気が止まってしまうのでは、という心配に関して。こちらは全く心配不要です。送配電はSPグループが継続して行い、これまでと同じ送配電ネットワークを使って電気は届けられるので、小売契約切り替えの前後で電気の品質や信頼性(停電の可能性など)は変わりません。
一番気を付けたいのは、早期解約時の違約金です。特に駐在の方で転勤のタイミングがわからない場合は、違約金なしでいつでも解約可能なSP Service の継続がよさそうです。
変更手続きはどうやるの?
さて、実際に変更手続きをしてみて感じたのは、‘予想以上に簡単’ だったこと。手続きのために外出する必要はなく、すべてオンラインで完結。電力会社がプロセスにかかった日数は一週間ほど。その間、進捗状況を知らせるメッセージが来たりと透明性も高く、不安になることはありませんでした。
実際の手続きですが、EMA比較サイトの各社Fact Sheet 内に、各電力会社のリンクが明示されています。Senoko Energy さんの場合、シート内に割引クーポンコードがあったので忘れないようにメモし、オフィシャルサイトへ移動しました。(*はたママ用のクーポンを今回特別にご用意頂きました。ページ末尾をご参照ください)
オンライン上の申し込みでは、SP Groupの請求書情報が必要になるので、手元に用意します。名前、Email、携帯番号、住所、SP請求書のアカウント番号を入力し、直近の請求書を添付します。(携帯でとった画像でOK)
申込手続き後、受付確認メールが届き、翌日には、無事に受理された旨がSMSで通知されると同時に、契約書類がEmail で届きました。5営業日ほどで、アカウント移動がSP Serivce間で完了したとの報告が来ました。またSP Serviceからも、アカウント変更受理と変更手続き完了の連絡がそれぞれ郵送で届きました。
契約を変更してみた感想
事前に言われていたように、自宅の電気が止まることは一切なく、スムーズにアカウント移動が完了しました。電力会社を比較してチェックした時間をのぞくと、手続きだけであれば10分ほどで完了です。
筆者の場合は月30~40ドルほどの節約となり、一年で考えると400ドル近く。在宅で電気料金が上がっている分がかなり相殺できるのではと思います。
シンガポールでは、自由化以降、1年間で半数弱の世帯が民間への契約に切り替えたとか。その反応の速さは他国と比べても際立っています。実際、早ければ早いほど割引の恩恵を受けられるのだから、迷う時間がもったいない、というのは実感しました。
また、今回衣笠さんから教わったのが、シンガポールの電力は比較的温室効果ガスの排出量が少ないガス焚き発電だということ。石炭火力、原子力発電は使用していません。さらに政府がクリーンエネルギー化に真剣に取り組んでおり、今後は太陽光発電など再生可能エネルギーの導入が進むだろうとのことです。
みなさんもぜひ、電力事業会社の変更、検討してみませんか?
【追記】
Senoko Energyさんから、はたママメンバー向けに特別優待コードをいただきました!
24ヶ月プランの場合、「HATAMAMA90」の入力で$90の Bill rebate、12ヶ月プランの場合、「HATAMAMA20」の入力で$20 bill rebateが付与され、初回または2回目の請求からそれぞれの金額が減額されます。有効期限は2021年12月末までです。ぜひご利用ください。
その他のSenokoさんの最新のプロモーションは下記のサイトにあるそうですので、併せてチェックしてみてください。
https://www.senokoenergy.com/households/promotions
<電力自由化について教えてくださった、衣笠智子さんのご紹介>
2006年に丸紅株式会社入社。シンガポール、フィリピン、台湾、カンボジア等の東南アジア地域にて10年間海外IPP発電事業の案件開発、管理業務に携わったのち、2017年9月より出産のため休職。2018年4月復職、2019年4月よりSenoko Enerty Pte Ltd に出向、シンガポールにて駐在生活を送られています。来星時より、はたママメンバーで、イベントにも参加されています。
Written by Naomi Tanno
Special Thanks to Tomoko Kinugasa (Senoko Energy)