妊娠・出産

シンガポールで妊娠&出産 ~病院の選び方&公立病院での出産体験談~

just born baby

こんにちは!はたママWebチームのもえです。

私は2014年1月に日本で第一子を出産、そして2020年11月にシンガポールで第二子を出産しました。上の子はずっと兄弟を欲しがっていましたが、月日は流れあっという間に7学年差に…。

妊娠が発覚したときはとても嬉しかった半面、シンガポールでの出産費用はとても高いと聞いていたので、ちゃんと払えるのかドキドキしていました。

というのも、夫・自分自身の会社ともに補助や保険等は一切なく、妊娠~出産まで全額自己負担だったためです。

そもそも妊娠が発覚したらどこに行けばいいのか?ということから分からないことだらけだったので、シンガポールで出産経験のある知人に相談したり、ブログや口コミを読んだりしてイメージをつかんでいきました。(はたママの過去記事にも妊娠&出産情報がたくさんあって参考になりますよ♪)

 

そして、最終的に公立病院であるNational University Hospital (以降NUH) で出産しました。

妊娠・出産関連のことは、ひとりひとり違っていて、これが正解!というものはないのですが、だからこそ生の経験談やアドバイスがとても役に立つものですよね。


今回は、NUHでの出産体験談だけでなく、シンガポールでベビーヨガ教室「SMILE PLACE」を運営されている
MIKIさんにご協力頂き、もう1つの公立病院KK Women’s and Children’s Hospital (以降KKH) の情報もシェアしたいと思います。

シンガポールでの妊娠・出産の大きな流れ

まず初めに、シンガポールの出産システムについて簡単にご紹介します。

妊娠が発覚したら、婦人科医=Gynae (ガイニ) へ。こちらで妊娠の経過を見ていくことになります。日本人ドクターに診てほしい場合は、日本語で検索すれば何人かヒットします。私の場合は、ローカルドクターでも問題なかったこと、シンガポール人がお勧めしているドクターはどんな方なのかしら?という好奇心、そしてローカルの方がお財布に優しいのでは?という理由からローカルクリニックを選びました。
(結果的にはローカルクリニックでも庶民派~セレブ派までまちまちで、結構な出費でした…)

シンガポールの妊婦健診では、日本と同じように体重&血圧測定や尿検査、また任意で出生前診断等を実施します。クリニックによっては、特別な検査の時は別のクリニックやホスピタルに行って検査する必要がある場合もあります。
特に日本と違うと思ったのは、OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を全員受けなければならないこと。日本では尿検査で+が出た場合や、糖尿病の家族歴がある場合等にのみ実施していますよね。私はこの検査で妊娠糖尿病のボーダーラインに引っかかってしまい、血糖自己測定や運動&食事制限が厳しくて大変でした。

出産については、日本のように検診を受けていたクリニックで出産するのではなく、出産施設のある提携ホスピタルで出産します。ホスピタルは公立病院が3つ、私立病院が7つあり、これら10か所のホスピタルの中からどこで出産するかを決めます。

出産時までクリニックで妊婦健診を受ける場合は、基本的には出産時のみホスピタルへ行くことなります。クリニックで診てくれていたドクターが、ホスピタルへ出張しお産をサポートします。一方、最初からまたは途中から自分が出産したいホスピタルのドクターの元で検診を受けることも可能です。

公立病院 VS 私立病院

先に述べた通り、シンガポールで出産できるホスピタルは全部で10か所。どこで出産したいのかについては、可能であれば予め考えておくとよいと思います。というのも、クリニックによって提携病院が決まっていて、希望するホスピタルで出産するには転院する必要が出てきてしまうためです。また、私立クリニックにかかっている場合は私立ホスピタルが提携病院になっているので、そのあたりについても要チェックですね。

私が妊娠中にどこで出産したか友人に聞いたところ、Raffles Hospital (RH)、Mt. Alvernia Hospital (MAH)、Gleneagles Hospital (GEH)、Singapore General Hospital (SGH)、KK、NUHと皆さん様々なところで出産されていました。皆さんそれぞれのホスピタルの決め手について、一言でいうと…

RH: 検診から出産まで、日本人の先生が診てくれる

MAH: 専門医の中でも有名な先生がいる

GEH: 提携先の日系クリニックにて検診→出産が可能だった

SGH: 家から近い、安い

KKH: 女性と子供の病院なので、出産した後も安心、家から近い

NUH: 安い、家から近い、大学病院なので安心

とのことでした。シンガポール人の同僚からは、Thomson Medical Centre (TMC) が人気だよ!と勧められました。


気になる出産費用については、
MOHのサイトで調べることができます。これを見ると、私立が公立よりも全体的に(かなり)高額であることが分かります。

実際の費用は入院日数、麻酔の有無、はたまた入院時の母子の状態によって数千ドル単位で大きく変動するため、あくまで参考情報となりますが、心の準備はできるのではないでしょうか。

 

公立病院と私立病院の費用と特徴

公立病院 私立病院
出産平均費用
(個室の場合)
SGD4000~6000 SGD8000~10000
特徴 ・私立病院より経済的
・妊婦検診の待ち時間が長い
・私立クリニックとの提携なし
・公立病院より高額
・施設や食事がホテル並に豪華
・日本語対応のホスピタルや提携クリニックあり
・退院時のギフトパックがある

NUHでの出産体験談(2020年11月現在)

「NUH!? Why?」とシンガポーリアンにも聞かれるほど、日本人には珍しい?NUHでの出産体験談をご紹介します。(どなたかのお役に立ちますように…)

妊婦検診は、口コミがよかったNovenaにある私立ローカルクリニックへ通い始めました。ドクターはマレー系の先生で、予約時間に行ってもふら~とランチに行ったり不在だったりするような南国系でしたが(笑)、クリニックはキレイで設備も充実、毎回エコーで赤ちゃんを見せてくれ、全く不満はありませんでした。提携病院は5つもあり、家から一番近くて私立の中では出産費用も抑えられるParkway East Hospital (PEH) で出産したいと思っていたのですが、コロナウイルスの影響でドクターが出張できるホスピタルがMount Elizabeth Novena Hospital (MNH) に限定されてしまう可能性がありました。その出産費用はシンガポール最高峰…。

これは予算超過だ~!と焦って公立病院の費用を調べてみると、なんと半額以下。費用が高いからといって、出産自体の質に差が出るわけではないし、入院は1、2泊程度。豪華なサービスは要らないと思い転院を考え始めました。

出産ホスピタルを決める前にSGHとNUHで出産した友人からお話を聞くことができました。二人とも帝王切開だったのですが、出産費用がSGHは約12,000ドル、NUHは約4,000ドル。NUHはうちから一番遠いホスピタルなのですが、交通の便はよかったのでNUHへ行ってみることにしました。
(NUHが何故こんなに安かったのかは友人も分からないそうです。保険分が引かれているのかな?)

NUHへ初めて行ったとき、あまりにも長い待ち時間に疲れ果てて転院はやめようかとも思いました。しかし、クリニックで受けたOGTTの結果に対して「食後血糖がちょっと高いから食事には気をつけようね~」とマレー系ドクターに言われていたのですが、NUHの中華系ドクターに結果を見せると「この後すぐ血糖計を買って1日7回測定して。食事記録も毎日取って。」と注意され大ショック。。食事にはかなり気をつけていると思っていたので、妊娠糖尿病と言われても全く心当たりがなかったのですが、赤ちゃんのためにはちゃんと管理した方がいいのかなぁ、もし赤ちゃんに何かあったら後悔するなぁ、と悩みました。そして、最終的には大学病院で何かあった時にも安心だと思えたこと、費用の安さ、妊婦健診の厳しさ=赤ちゃんのため!と考え、健診パッケージの始まる22週前にNUHへの転院を決めました。

費用については、検診費用がクリニックへ通っていたときの費用がかなり高額だったようで総額約3,800ドル、出産費用については自然・普通分娩、個室、1泊で約4300ドルでした。

NUHでの出産は、健診時の待ち時間が長い、ご飯が期待できない、出産・退院時のギフトがない等、サービス面では私立に叶いませんが、大学病院のため安心感があり、出産後は併設の小児科の先生に診てもらえる等、医療面での不満はありませんでした。そして、思っていた以上に安く済んで驚きました。何よりも、赤ちゃんが無事に元気に生まれてきてくれたので大感謝です!!

(画像出典:https://en.wikipedia.org/wiki/National_University_Hospital)

KKHでの出産体験談(2019年3月現在)

KKHでご出産されたご友人からお話を聞いて、他のホスピタルとは特に比較せずKKHでの出産を決められたというMIKIさん。決め手は女性と子供の専門病院なので何か緊急事態があったときにも安心、産後に子供の病気でかかっても出産前からのカルテがあるのも安心だから、とのことでした。

余談ですが、シンガポールで出産した方から、産後赤ちゃんが黄疸の検査に引っかかって何度も通院しなければならなかったという話をよく聞きます。とある知人は別のホスピタルで出産後、赤ちゃんの黄疸治療のためにKKHに通院していたので、MIKIさんのおっしゃる通り小児科に強いKKHでの出産は安心だと感じました。(私も例外ではなく、退院後に何度もNUHに通わなければならず大変でした。)

MIKIさんは妊娠が分かったときからKKHへ通い始め、安定期に入った5か月のときにプライベートドクター(産婦人科医を指名する制度)に切り替えたそうです。
※国民でない場合は最初からプライベートドクターしか選択できないと思われます

妊婦健診にかかった費用は、補助金利用で約1600ドル。出産費用は無痛分娩、4人部屋、2泊で約8600ドル(補助金分控除前)でした。

MIKIさんは現在第二子妊娠中でいらっしゃいますが、KKHの当時と同じドクターに診てもらっているそうです。先生は優しく、とても距離が近くて安心感があると話してくださいました。私も次は(おそらくないですが)KKHを検討したいと思いました。

(画像出典:https://www.kkh.com.sg/about-kkh)

さいごに

初めてシンガポールで出産する方も、そもそも出産が初めてという方も、海外での出産に不安を感じることがあるかもしれませんが、シンガポールの妊娠・出産のサポートは非常に高水準で素晴らしいので、まずはご安心を!その上で、ご自身の希望に合わせてクリニックやホスピタルを選び、満足のできるお産を叶えてほしいと思います。

私が妊娠・出産費用を抑えたかったのは、シンガポールでは日本では受けられないような産後ケアがとっても充実していて、同じ出費をするなら産後ケアに回したいと思ったからでした。

次回の記事では、シンガポールで受けられる産後ケア・サービスについてご紹介予定です♪

 

Written by Moe Kawai
Special Thanks to Miki Makimura (SMILE PLACE)

 

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