2020年、シンガポールから日本に本帰国した、はたママ創設者まっきーとはたママ貢献者愛子さん。帰国して直面した壁は?今何を考えているのか?同じような境遇の方へのアドバイスは―—Zoomでお話をお伺いしました!(取材・文:中野円佳)
本帰国後で大変だったことって?
—自己紹介がてら、帰国時期やその時のお子さんの年齢等を教えてください。
愛子:2012上海に行き、そこからシンガポールにスライドしたので丸7年海外にいて、今年帰国が決まりました。東京ではなく実家の近くの神奈川県に住むことに。今は業務委託でフリーランスで仕事をしています。子どもは5歳。シンガポールにいる間はHDBの中にあるローカル幼稚園に9-17時通っていたのが、今は私立の幼稚園で9-15時で通っています。延長は18時まであるので預けることはできてたまに利用。エリア的に保活が熾烈で、フリーランスでは幼稚園しか選択肢がなかった。
まき:結婚後、シンガポールに2010年12月から2020年9月までいました。もともと夫と田舎に暮らしたいと話はしていて、子どもも小さいので、今年夫の仕事に伴い、夫の実家がある岡山に帰ることに。子どもは今小1と年中(5歳)。シンガポールでは2歳くらいはナニーに預けていて、下の子うまれたと同時にメイドさんを雇い始め、上の子はプリスクールに。4時間保育で幼稚園に通い、メイドさんが迎えに行くというパターンだったのが、今は上の子は小学校、下の子はこども園に通っています。
—帰国して一番大変だったのは?
愛子:人間関係。上海もシンガポールも周りの目をあまり気にしないで済んだのが、たとえば子どもの幼稚園の送り迎えの時にビーチサンダルで行くと、そういう人が他にいない。私としては気にしていないけど、だんだん娘が「なんでママはスニーカーはかない」と聞いていきたりとか、ママは周りと違うと感じ始めている。今のところ自分のスタイルを貫いてはいるけど、これから学年上がるとそれが子どものいじめとかにつながるくらいなら周りに合わせたほうがいいのか…と迷うところはあります。
まき:最初受けれいてもらえるか不安はあったけど、仲良く出来そうな人にLINEを聞いたりして、学童行っている人は親も仕事しているからそういう人と話したり、他の転勤族の方とは仕事の話もできる。シンガポールで自宅付近では子どものスクーターにちょっと乗って郵便局に行くとかしていたのが、日本ではしないほうがいいかなという考えが頭をよぎったときに、自分も知らず知らずのうちに周りの目を気にしてるなと感じましたね。
—幼稚園やこども園のルールなどで驚くことはない?
まき:自転車で5分くらいのこども園の幼稚園部門に通わせていて、16時までの延長なんだけど毎日延長料金を600円もっていかなくちゃいけない(笑)あと、縄のなわとびを皆買っていて、縄のところに布に縫い付けて名前を付けてくださいと指摘されて、私自身は結構人に会わせるのが苦じゃないんだけど、夫が親にやらせること多すぎると言って(その時時間がなかったので)、プラスチックに名前を付けて縄に直接名前を書いて持っていったら、やっぱり言われてしまった。
愛子:幼稚園で揃えないといけないアイテムが十何個もあって、全部名前ちゃんと書くとかはすごくしっかりしている。みんな一緒というのがすごく重視されている。そうやって日本人になっていくんだなぁと思う。
まき:上の子は最初ランドセル持っていなかったんだけど、買って届いた日にすごく喜んで、これで皆と一緒だみたいなことを言ったんだよね。いいけど、こういう風に変わっていくんだなと。
愛子:みんなは持ってこないからダメだよみたいのうちの子も言う!ルールを守る、皆と同じことをする…。日本はそれが凄く強い。
子どもの環境適応ってどう?
ーそもそもお子さんたちの順応は?
愛子:子どもは最初ドキドキの1ヵ月目、寂しい2ヵ月目…を経て、3ヵ月目で今は超楽しそう。家でCNAを見ていてシンガポールがうつると「帰りたい」と頻繁に言う時期はありました。あと幼稚園はある程度グループができあがっているから、どの子と遊ぶか、友達ができるまでは少し焦っているところはあり「ママ今日は早く迎えに来て…」みたいな日もあった。でも運動会があったりして、幼稚園にチームワーク等ができる機会を作ってもらえて、今はなじんでいる。
まき:下の子は全く問題なく、1日目から給食をおかわりしていました。割とのほほんとしていて、逆にシンガポールで転園したときのほうが厳しく怒る先生でギャップがあり、今は優しい先生で毎日延長しても問題ないかんじ。
上の子は小学生で、今まではバスまで親が送っていたのが、一人で道を歩かないといけない、しかも寒かったり帰り暗かったりすることが、子どもにとっては大きな違いで…。最初は学校行かないとかいう日があったので、1時間目だけ休ませたり、自転車で送りに行った日もあった。でも朝近所の友達が迎えに来てくれるようになって、行けるようになった。学童も行かせていなかったけど、慣れてきたから行かせたら今度は学童が嫌だとなり、でもそれも友達作るのとかを少し後押ししたら大丈夫になってきた。
ーお子さんの英語は今後どうなりそう?
愛子:特に塾も何もしてない状態。娘は意外と英語コンプレックスがあるのか、逆に日本語でこんなに通じるなんて!とワクワクしてます。どちらかと周りの幼稚園の子が英語習ってたりとかで、意外と英語話せる子が多い。
まき:英語忘れていっちゃいそう。やっと慣れてきたから習い事を考えようかと思っていて、上の子はシンガポールのときの幼稚園の先生にウクレレを習っていたんだけど、オンラインでもやるよ~と言ってくれているので、そういう方法で、昔の友達とのつながりを残したりするのが自然かなと。メイドさんと話したいとき電話したりはしている。結局は本人がやりたいと思うか。
帰国後はどんな仕事?働き方?
—お仕事や生活上の変化は?
愛子:8年ちゃんとした仕事に就いていない、40歳になった、子どもも小さいとやはり再就職の壁は高かったです。広報とか、人事とか、分かりやすい職種であれば復帰しやすいかもしれない。企画とかコンサルとかだと実務としてパッとイメージがわかないところだとフルタイムで残業もしますというわけではない今の条件だと厳しくて。
何度も落とされるとなんでやってるんだろうという風になるので、もうフリーランスに。フリーランスは、日本にいてビザとか気にしなくてよくてやりやすい。ただ、業務委託でお仕事させてくださいという方はいるけど、数か月単位とかで刹那的な仕事の仕方をずっとしていっていいのかという想いはあります。
とはいえ、年齢的にこれからバキバキに働いてという見通しもなく、これからどうしようという感じはある。そこで沈みきっていないのは海外での経験があったからではあるけど。
まき:もともとしていた仕事がリモートで、それは続けています。岡山に来たことで、生活コストが大きく変わって、起業している人が集まるような講座に投資してみたりとかして忙しくしています。ただメイドさんがいなくなって時間が取れない。
朝は夫が送っているけど、それでも自分の時間は6時間くらいしかない。今まではメイドさんがいたので家事しなくてよかったし、家が常にきれいな状態だったし、家電家具ゼロからはじまり、船便届くのも時間かかるので生活がうまく立ち上がっていないところもある。これから家事代行とか頼んでみたいとは思っています。
愛子:うちも4ヵ月目に入ってようやく軌道に乗ってきた。それまで喧嘩もよくした。冷蔵庫何買うとかね…。
—隔離生活はスムーズでしたか?
愛子:エアビーで部屋を借りて1ヵ月自主隔離していた。今思えばその時間は最高だった。夫も有給とって、2週間経過後は海に行けたりもして。ずっと働き詰めだったから何のプレッシャーもなく、家族で過ごせて良かった。
まき:2週間自宅隔離にして、関空から1泊ホテル泊まってからレンタカーで帰ってきて借りていた新居に入った。駐在ではないので補助がでないので、安い方法(コストがかからない方法)を考えました。
—今感じていることは?
愛子:第三国にいる気分。25年暮らしていたはずの地元に帰ってきたけど、様変わりもしているし、友達も多くが出払っているし、シンガポールの友達とのほうがつながりがまだある、でもシンガポールも遠くなってきてしまっている。コミュニティが狭くて在宅ワークで人と関わっていないせいもあるかも。
まき:そういう人っていっぱいいる。岡山も転勤族も多い。そういうときこそオンラインコミュニティかなと思う。まだ友達作りははじめられなくても、オンラインコミュニティでつながっている。仮に幼稚園のお母さんと話が合わなくてもそんなに大きな問題ではないと思える。自分にとって大事な話ができる相手がいることが大事かなと私は思っています。
最後にメッセージ
—最後に、シンガポールにいるはたママメンバーや、帰国を控えている人へのメッセージを!
まき:新しい生活を他国で立ち上げるって大仕事なんだけどついつい、「何もできていない」と思ってしまう。今までもシンガポールに来たはたママメンバーさんとのお茶会で「何にもしていないんです」と言っていた方が「そっか、私がんばってたんだ」と気付き、涙する場面に何度も立ち会ってきました。それでも自分も陥りそうになったし、私はいつも自分をホメるようにすごく気をつけています。「今日もエライ」「よくやった」「すごいよー」って。(笑)家事や子どものお世話って褒めてくれる人がいない!だから、振り返ることを忘れずに♡
愛子:本帰国を控えてドキワクな皆さんへ、覚えていますか?シンガポールへ来る前の気持ち。覚えていますか?シンガポールに来て2,3ヶ月の頃の気持ち。私はまさに、そのときの気持ち思い出してるところです。緊張と興奮が混じったような不安でもなく安心とも違う。でも、シンガポールで感じたアイデンティティーロスからの持ち直した経験が活きてるのも実感。焦らず私も向き合っていこうと思います!
今回の企画は、まっきーから「帰った後の事って不安だけど誰に聞いたらいいか分からない、特にシンガポールから帰る人が感じるギャップについて事前に語ることで皆さんの心づもりになれば」という提案で実現しました。
戻る地域やお子さんの年齢やお仕事の状況(復職先があるなど)によっても異なるとは思いますし、これという解があるわけではないですが、こんなことに直面するんだなというリアルな声から、少し子どもへの後押しが必要になるかもしれない等の、まさに「心づもり」につながる情報をお届けできていればと思います。(取材・文:中野円佳)
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