インタビュー

働かないという選択肢は私にはない!自分を知ることで常に迷いなく進むことができた軌跡
はたママインタビュー Profile #15 石井沙織

はたママインタビュー15回目は、今シンガポールで大人気のインテリアコーディネーター石井沙織さん。

日本では外資系企業で男性と肩を並べてバリバリ働いていた沙織さん。パートナーの海外転勤で1か国目のタイへ帯同するための退職したことを機に自分の本当にやりたいこと、インテリア業界にキャリアシフト。2か国目となるシンガポールでもぶれない自分軸で行動を続けて、去年の秋からインテリアコーディネーターとしての本格的な活動をスタートされました。

バイタリティ溢れる沙織さんのストーリーはきっと多くの女性の勇気に繋がる!と確信し、友人の立場から沙織さんのこれまでの軌跡を伺いました。

1か国目(タイ)への帯同の時のことを聞かせてください。


—パートナーの海外赴任が決まったとき仕事を辞めることに迷いはなかった?

当時私は外資系企業で忙しく働いていて、会社同期の彼との結婚式、数か月前に彼のタイ赴任の辞令が。突然のことでびっくりしたけど、でもその時は、会社の仕事よりも興味がある分野がはっきりしつつあったので、会社を辞めることに迷いはなかった。

子供もまだいなかったし「あっちで働こう」「私なら働ける」と思っていたんだよね。タイは帯同ビザでは就労できない国だけど、自分が労働ビザを取得してでも働きたい!と強い決意を持っていたかな。

 

—実際にタイですぐに仕事は見つかったの?

タイへの引越を終えて、「よし職を探そう」と人材エージェントにあたった時に、言われた言葉「駐在妻で働いているのは2.3人しかいない」で現実を知ってね・・。

それまで男女平等で働いてきたし、成果も出してきたから、【女性だから働かない、働けない】、というその事実に憤慨し、「馬鹿にしてる!私が絶対4人目になってやる!」と思ったよ(笑)

日本にいた時から興味があったインテリア関係の分野で働きたいと思っていたのだけど、その分野での日本人女性に対する求人は全くなく、タイ語もできない状態では、3か月間探ししても就職先は見つけられなくて。

これまでの同僚は外資系企業で、優秀な人が多かったし、私もプライドもあったので、周りが成長していく姿を見聞きすると、「自分は就職もできないのか、夫に依存して生活している自分なんて」と焦ってしまい、落ち込んだ時期だったなぁ。

「駐在妻は楽している」という目で見られる、自分がそう思われるのがとにかく嫌だった!

タイでボランティアしてた家具店の展示会

 

—それから次はどうしたの?

自宅用に食器棚を探していくつかインテリアショップを回っていた時に、セミオーダーできる食器棚を売っているお店を見つけて。そこで思い付いて「ボランティアでよいので、何かお手伝いできませんか?」とオーナーにいきなり提案してみた!!(さすが沙織ちゃん笑)

タイ人夫婦のオーナーのみ英語が通じたので、何とか意思疎通を図り、「じゃあ来てみたら」と快諾。家に籠っているだけの生活ではなく、ボランティアでもいいから外の世界を見たいという気持ちだけで、突っ走ってたね、若かったしね。

それから、週に数日通うようになり、マーケティング担当として日本人向けフリーペーパーの広告を作ったり、展示会に立たせてもらったり、終いには出張まで行かせてもらったり。

収入はなくても、インテリア関係の経験を積むことができたし、自分が何かの役に立てることが嬉しくて、「自己肯定感」が上がって、ようやく、落ち込みから回復し、自分らしく過ごせるようになったかな。

 

—他にもキャリアのためにしたことはある?

1人目を妊娠したこともあり、そのお店でのボランティアは1年程度で終わりにしたんだけど、試行錯誤しながら自分でWebサイトを作って日本向けにローカル雑貨を販売をしてみたり、日本人会の講座でカラーに関する資格を取得したりもして。目標であった「インテリアコーディネーター」の資格も妊娠中に勉強をして、妊娠6か月の安定期に入って、一時帰国をして資格試験を受験し、無事に合格。

収入を得て働くということが叶わなくても、すべては自分の経験と知識になると思って、できる範囲でできることを、とにかくやってみた感じだったかな。

産後は、働くということにはあまり拘らず、初めての子育てを楽しんで、2人目もバンコクで出産してママの生活を満喫し、充実した海外生活だったよ。

長女妊娠中のタイの水かけ祭り!

 

本帰国の時の話を聞かせてください。


—本帰国に向けて何か取り組んだことはあった?

うん。海外生活を楽しみながらも、本帰国後のことを視野に入れて、日本の求人は常にチェックしていたよ。資格は取ったものの、業務経験はまだないから、未経験でも就職できる会社があるのか、どんなニーズがあるのか、求人サイトで情報収集をしていたかな。

 

—本帰国が決まってすぐに内定もらったの?

そうそう、求人を常にチェックしていたから、本帰国が決まった時にちょうど求人が出ていた、英語ができる、かつ未経験OKのインテリアコーディネーター募集の会社1社にピンと来て、フランイング気味に応募(笑)

そして、帰国後すぐに面接して、いきなり内定をもらうことができたんだ!

1社しか応募していないし、この1社で内定が出なかったら、しばらく日本でも子育て楽しもうと思っていたんだけど、意外にも内定をもらえたので、急遽月20万かけて無認可保育園に子ども2人を入園させ、心機一転、日本で希望の職種でのお仕事スタート。

海外帯同中に自分のやりたいことを明確にして、ボランティアでの経験や資格取得、求人情報のチェックなどの準備をコツコツと続けていたことが、再就職に繋がったのかなと思う。

 

2か国目(シンガポール)への帯同の時のことを聞かせてください。


—正直、どんな心境だった?

念願のインテリア関係の仕事を始めて2年半が経ち、日本でのワーママ生活のバランスも徐々にとれるようになり、やりたい分野での仕事をして充実した生活。そして、自分の理想のインテリアでマイホームを建てようと土地の契約をした後のタイミングで・・・また夫の海外赴任の辞令が。

この時はさすがに衝撃を受けて、怒りも湧いてきたね。
また、私が退職しなければならない。「あなたのせいで、私は振り回されている!」と。

イライラもしたし、ネガティブな感情も湧いてきたけれど、でも、“絶対働く”という気持ちに揺るぎはなかった。だからすぐに切り替えて、「シンガポールで働く」、それに向かってすぐに情報収集を始めたよ。タイでの駐在妻経験があったからこそ、“専業主婦は向いていない、働かないと私は無理”と、自分を十分理解していたから、迷いがなかったのかな。

友人のキャリアコンサルタントに相談して現地の人材エージェントを紹介してもらったり、すぐにはたママに登録して、発起人のまっきーにDMを送って現地情報を聞いたり。

 

—来星後、何から始めた?

始めに子供たちの幼稚園探しに着手。次にメイドエージェントに依頼してメイドさんの面接を進め、2つが整い始めたところで、シンガポールのエージェントに登録。

フルタイムかパートタイムかなど、どういう働き方をするかは迷ったりはしたけれど、“働かないという選択肢”はなかったから、複数社の面接を受けて内定が決まったインテリア系の会社ですぐに仕事をスタートさせたよ。

自分としてはインテリアコーディネーターとして働きたかったんだけど、あまり条件の合う求人がなくて、内定が決まった会社は別の職種。でも、海外のインテリア関係の会社で働くことで得られる知識や人脈、経験があると思って、飛び込んだよ。

それでも、インテリアコーディネーターとして私にできることがないか、経験を積むためにできることはないか、と考えて、SNSで発信を始め、完全ボランティアでインテリア相談を受けることにしたんだ。

ラミネートを選んでいる様子

 

—次のステージに進むために何をしたの?

会社で週5日、週末の出勤もしながらも、ボランティアでのインテリア相談も続けて約2年。その間もずっと「インテリアコーディネーターとしてシンガポールで働く」という目標は揺るがなかったから、はたママを通じて人脈を広げたり、LOCをもらって個人で活動している人の話を聞いたり、とにかく情報収集を続けていたよ。そして「どこかLOC出してくれる会社ないかな?」と言いふらして回ってた!コロナのサーキットブレーカー中は、インスタやブログの発信にも注力。

そんな種まきがご縁を繋いでくれて、無事にLOCを出してくれる企業が見つかり、一緒に活動しないかと言ってくれるパートナーとも出会い、一緒に「HanaDesign」を立ち上げて、今は、シンガポール在住の日本人向けに「自分らしい暮らし」を実現していただくため、フリーのインテリアコーディネーターとして、インテリア全般のデザインやスタイリングのサービスを提供しているよ。

こんなにスムーズに進めたのは、1か国目での経験と試行錯誤があったからこそ。
退職をして専業主婦となった自分と向き合い、自分は何をしたいのか、どんな風に生きたいのか、をじっくり考えて、自分自身をよく知ることができたから。

そして、どんな時でも、夫が、働きたい私のことを認めて、応援してくれていたことが大きな支えになっていたなぁと振り返ると思う。

 

—今、目標がかなってどんな心境?今後への意気込みを聞かせて!

タイに引っ越したたころから約10年、やっとフリーのインテリアコーディネーターとしてお仕事ができるようになり、毎回のご依頼がとても嬉しく充実しているかな。 一方でフリーになってから、仕事に注力しすぎて家族やプライベートの時間がおざなりになってしまう現実も経験して。 今後の目標としては、お客様や家族、そして自分も含めてみんなHAPPYになれるベストバランスをしなやかに模索しながら働き続けたいと思ってます!

納品事例

 

はたママ読者へのメッセージ

最近になって、余白の大切さを感じるようになりました。 時間的、精神的、物理的な余白が、次のステップへの原動力になる気がしています。 私もそうでしたが、もし今働きたくても働けない方がこれを読んでいらっしゃれば、それはきっと次への助走期間、本質的な自分のニーズに向き合う期間なのかもしれませんね!

※追記:2022年にSollys Designとして独立しました。

Profile
石井 沙織 (いしい さおり)
北海道札幌市出身。在星歴2年半。新卒でデンマークの海運会社に入社、コペンハーゲン駐在中インテリアの魅力に目覚め転職を夢見る。本帰国後、結婚し夫の駐在でタイ、バンコクへ帯同とともに退職、タイ人デザイナーの家具ブランドにボランティアを飛び込みで直談判、採用してもらう。4年のバンコク駐在中2人の娘を出産、未来のキャリアを見据えてインテリアコーディネーターの資格を取得する。本帰国に伴い、都内インテリアコーディネート会社に就職、個人邸、モデルルームのご提案、販売、設置を経験する。再度、夫のシンガポール駐在が決まり帯同と共に退職。渡星後すぐに職をさがし、インポート家具店の販売員として働き始める。2020年に家具店を退職、フリーのインテリアコーディネーターとして活動を開始、2022年に法人Sollys Designを立ち上げて独立する。2023年会社設立。シンガポール在住の日本人向けに、「自分らしく暮らせるインテリア」を提案している。

沙織さんの世界観が溢れる素敵なInstagramはこちら。
インテリアコーディネートの詳しいご案内はSollys Designホームページ、または沙織さんのブログへどうぞ!

家族構成:夫、娘2人(7歳、5歳)、ヘルパーさん
好きな場所、好きなもの: 海・デザイナーズ家具・旅行・爆音を聞いて躍ること
一日の過ごし方:6:00 起床➡7:30 子供たちのお見送り/業務開始➡10:00 お客様宅かショールーム周り ➡15:00 帰宅・メール返信資料作り ➡18:00  夕食・子供たちと遊ぶ ➡20:00  自分時間・夫と晩酌 ➡ 24:00 就寝

Interview and Written by Nao Fujita

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