インタビュー

アートを通してみんなの笑顔が見たい!10年ぶりのキャリア復帰は、自由で楽しいアートワークショップ! はたママインタビュー Profile #13 吉澤直子

はたママインタビュー13回目は、「脳が喜び、心が笑うアートワークショップ」をシンガポールで開催している吉澤直子さん(よっし~)。

コロナで自宅待機の子供たちに楽しんでもらいたいと、オンラインで無料アートワークショップに挑戦。なんと合計で1000人以上のファミリーが参加し、大きな反響を呼びました。

そんな行動的で元気なよっし~ですが、ワークショップ活動を始めるまでは10年以上のキャリアブレイクがあり、うじうじ・もやもや期があったとのこと。

よっし~がどのようにキャリアに復帰したのか、そしてアートにかける思いについてお話を伺いました。

アーティストよっし~のバックグラウンド

 

若いころは好きなことをやり尽くした、と言っていいかもしれません。専門学校を卒業してジュエリーデザイナーとなり、企業で6年間がっつり働きました。

もっとジュエリーの勉強がしたくて、社会人時代に貯めた資金でスコットランドの美大に入学。イギリス、ヨーロッパのギャラリーで展示会をしたり、ポップアップショップでジュエリーを販売したり。好きな事をやっていたし、楽しかった。

アートの中でも特にジュエリーが好きなのは、実用的で立体的で、人に大事にされるものだから。油絵やいろんなアートを学んできたけれど、最終的に仕事として選んだのはジュエリーでした。


留学時代、卒業時のクラス写真。アットホームで、コースの内容がとても充実したクラスだった。

キャリアブレイク。長い人生の夏休み。

 

スコットランドで生活していた時に今の主人と出会い、結婚しました。長男が生まれ、慣れない土地で子育てをすることとなり、目の前の生活をこなすだけで精一杯の日々。自分のキャリアや先のことなど考えられなかったですね。

主人の仕事の関係で2008年にシンガポールに拠点を移してからも同じような状況でした。当時はネットもSNSも今ほど普及してなかったし、周りに日本人が少なく、友人を作るのも苦労しました。2年ほどかけてシンガポール生活に慣れたころ、次男が誕生し、育児と主婦業に集中する生活に自然となっていました。

子供を通してのお付き合いで知り合いが増えていったけれど、なぜか自分のジュエリーやキャリアについて話すことはできなかったですね。お母さんたちの中で浮いたり目立つのが嫌だったのかな。

キャリアを中断していた期間は、人生の夏休みのようであり、失われた10年と呼んだりするけど、それと同時に幸せな10年間でもありました。私は仕事と育児、ふたつのことを同時にできないから育児に集中したけれど、そこに後悔はありません。手をかけて子供を育てることができた自負があるし、貴重な時間だったと思っています。

子育てで大切にしているのは、こうなってほしいという親の希望を押し付けないこと。将来、子供には子供の人生を自立して送ってほしいと思います。

子供が中2、小5とだんだん大きくなってきたし、これからは私が好きな事をやる時期が来たなと思っています。

 

 

 

 

 

 

くやしさと、うじうじ。自分にエンジンがかかるまで

 

専業主婦をしていた日々の中で、自分の活動を始めたいと思うようになったのは、くやしさの感情がきっかけでした。ある時インターンの若い子たちと接する機会があり、彼らが自由に自分の夢にまい進する姿を見て、自分も何かやりたくてくやしくなったんです。

ほかにも、主人がキャリアを順調に伸ばしているのを見てくやしく感じたり。自分の生活にだんだん物足りなさが出てきました。

でも、動き始めるまで、本当に長い間ぐじぐじで(笑)。人にどう思われるか、何を言われるかが気になったり、失敗したらどうしよう、できなかったらどうしようと不安になったり。うじうじから抜け出せない、そんな自分が嫌でした。

 

そんな時、シンガポールの友人が主催した心理学のセミナーを受講し、自分が持つ才能を生かしていく大切さに気付かされ、前に動き出すきっかけとなりました。はたママメンバーのコーチングセッションやオンラインサロンにも積極的に参加しました。

自分がひとつ動いたらドミノ倒しのようにネットワークが広がり、大切にしているジュエリー制作のこと、アートのことを語れる仲間が見つかりました。アートワークショップの開催など、仲間の応援があったからできたことがたくさんあり、とても感謝しています。それと同時に、最終的に行動を起こすのは自分であり、勇気を出して踏み出せた自分も誉めてあげたい。

もうひとつ、自分の背中を大きく押してくれたのが、働くために必要なビザがとれたこと。求めていた情報をキャッチでき、そこからとんとん拍子に手続きが進みました。その後、ワークショップに必要なノウハウを学ぶセミナーや、通信講座を受講していきました。

アートには正解も、上手い下手もない。

 

アートワークショップを始めた時は、まさに崖から飛び降りる感じ。まだ始めて半年ほどですが、募集をかける時はいつもとても不安だし、エイヤっと気合を入れて行動してます。

それでも、1000人ワークショップなどチャレンジを続けるうちに行動にとりかかりやすくなったし、やりながら考えていこう、という気持ちになりました。

 

 

 

 

 

 

アートワークショップで目指しているのは、子供たちが自由な発想で作品を描いたり、創造力や考える力を身に着けていくこと。褒められるためにうまく描こうとしなくていいんです。味のある線が描けたり、最後までやり遂げることで、小さな自信をつけていってほしい。だから子供たちの変化や成長を見つけて、それを伝えることを意識しています。

このアプローチは、スコットランドで学んだアート教育に影響を受けていると思います。アートには正解がなく、自分のためでいい、という姿勢は、日本で学ぶ芸術とは違うかもしれませんね。

決めつけていた常識をとっぱらって、大人にもアートを楽しんでもらいたい。たかがアート、難しく考えなくても大丈夫。自分を喜ばせるものなんです。運動と違って、アートは高齢になっても続けられるし、人生の最後までできる趣味じゃないかな。絵を描くのが楽しければ、きっと人生の張り合いになるはずです。

これからも「好き」に忠実に

 

ジュエリー制作は今後もずっと続けていきたいです。作りたいものがたくさんあって、まだ20%くらいしか形にできていない感じ。デザインする時は、自分の「好き」に忠実に、心の声を聴くことを大切にしています。

先日、スコットランド時代に私のジュエリーを買っていただいた方が、10年を経て私を探し出してくれ、新たなオーダーをしてくださいました。ずっと大切にしてもらえるジュエリーをこれからも作っていきたいです。

ワークショップも定期的にやっていきたいですね。今回、Zoom でできること、できないことの学びがあったし、オンラインとオフラインを織り交ぜていきながら。オンラインでは世界のいろんな国と繋がれるのが面白いですね。

シンガポールでは材料を揃えるのに苦労することがあるけど、これからも工夫しながら挑戦していきたいです。

はたママメンバーへのメッセージ

 

子供が大きくなって振り返ってみると、昔の自分は子供に対して心配しすぎていたかなと思います。多くの場合、子供は少しくらい雑でも育っていくし、親が楽しく働いている姿を見せていけばいいんじゃないかな。

自分は10年のキャリアブランクがあったけれど、今中断している人も、それぞれまた働ける時期、タイミングが訪れるものです。昔働きながら貯めたスキルは、どんなに長いブランクがあっても忘れていないもの。勘はすぐに取り戻せるから大丈夫ですよ!

 

Profile

吉澤 直子 (よしざわ なおこ) 

東京 大田区出身。ヒコ・みづのジュエリーカレッジ卒業後、ジュエリーメーカーに企画・デザイナーとして勤務。スコットランドのエジンバラ芸術大学(Edinburgh college of Art  – The University of Edinburgh) に留学、ジュエリー学科卒業。

エジンバラ→ ケンブリッジ→ シンガポールと移住し、 現在 来星12年目。
家族構成:夫(スコットランド人)、中学2年と小学5年の息子2人

よっし~のアート、ジュエリー作品はInstagramで公開されています。
アートワークショップのご案内はご本人のFBページで。興味のある方は友達申請をお願いいたします。

Interview by Naomi Tanno, Masayo Hada
Written by Naomi Tanno

 

 

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